北陸の峠道
新又越
この峠は、勝山の横倉と加賀の新保を結んでいた。越前甲へ登る時に通る大日峠も同じで、標高も大日峠が
933mと似ている。しかし、大日峠は登山道の途中なのでどうしても知名度が高い。それに比べて新又越は
国道416号のための道路が峠の10m手前まで造られているし、(鎖のゲートで通行止めだが)こんな道を歩
いて峠へ行こうなどという人は滅多にいないだろう。で、誰からも注目をあびることは無いのである。
私は以前、越前甲に登った時から、この林道の先はどうなっているのか見てみたかった。それが最近、この峠
にはお地蔵さんがいると聞いたので、それならと急遽歩くことになったのだ。車を停めると越前甲が青空をバッ
クに鮮やかにそそり立っている。一瞬予定を変えようかなと思ったりしたが、私としては少し時間が遅いみたい
なので、予定通り新又越へ向かうことにする。
登山口の石仏 「にげだにこば」とかながふってある石柱
私より一足早く地元の方らしい3人のおじさんが、それぞれ篭を持ってゲートの鎖を跨いだ。聞くと「むかご」を
採りに来たのだという。登山口の石仏の近くからあちこちと探しているようだった。私はというと露に腰近くまで
濡れて草を分けて歩いた。始めから林道を歩けば良かったと思ったのだ。
30分程で林道へ出る。国道416号になるのか、それとも未舗装だがすでに国道416号なのか判らないが
当然ながら歩きやすいし、なかなか周囲の雰囲気も良くて気持ちよく歩けた。林道を歩くこと30分で峠に到着。
上の方から金属音がして誰か作業をしているようだ。車が一台峠手前に停まっていた。作業は峠から左の尾根
を少し登った送電線の鉄塔付近らしく、峠付近に人影は無かった。
峠の石仏
お地蔵さんはいた。今日はお地蔵さんと向かい合って、蕎麦を食べながらビールを飲みたいという思いが叶い
そうだ。小松側は細い道が下りていたが、すぐに雑草に覆われている様子だ。登って来る人もいないのだろう。
まだ時間があるので、今日のもう一つの目的である「県境の右の稜線上を歩けるか」を調べるべく右手へ細い
尾根を辿る。最初は多少薮がうるさかったが、登るほどに歩き易い道となって、30分ほどで1012mのピークに
到達。その少し先で木地山峠まで行けるかなと地図を見たら、あと1時間半近く掛かるみたいなので、そこから
引き返すことにした。たいした薮でないことが判った。
左側の鞍部が新又越 右側一番高いところは1012mのピークここまで登った
12時過ぎに峠へ戻りウズラの卵付きの割子蕎麦を食べながらビールを飲む。最近のコンビニの蕎麦はなかなか
美味しく出来ている。今日はサンドイッチにみかんも食べてしまった。1人でこんなにゆっくりと食事を摂るのも珍し
い。気候がいいし気持ちよく歩けたので一眠りしたいくらいなのである。
戻りは峠のすぐ下に小径を見つけたので、もしかするとこれが峠道かなと少し期待して降りたのだが、送電線の
巡視路らしい。それにしては荒れていたのだがだいぶ近道だった。峠道を巡視路に使う場合もあるからハッキリ
としたことは判らない。
車の処に戻ったら、隣に軽自動車が一台停まっていた。今日越前甲へ登った人の車なのだろう。大型トラックが
小松へ抜けられると思ってやって来た。ずっと手前に警告の立て看板があったのだが。
('03年10月8日)