還暦つれづれ草


オーディオ

私は思い切りの悪い人間なので、大手の家電屋を2・3件廻ってデジカメを眺めまわして来た。
しかし、今使っている130万画素のヤツでも十分に使えるのだし、壊れに壊れたステレオ機器
を何とかしようかなと思ったりもしているのだ。4・5万で便利なコンポが揃うのだが、ゆっくり音
を確かめることも出来ず、昔、レコード会社の録音課に籍を置いた者としては、一応オーディオ
の専門店に顔を出して今時の音を聞いてこようと思ったのである。

試聴室ではチェロの素敵な音色が聞こえていた。値段を見ると、スピーカーが360万円、CDプ
レーヤーやアンプなども250万円とか190万円とかだったのである。店の若い人に話を聞いた
ら、この店での最低の価格のものでも良い音ですよと10万円のスピーカーを薦められた。 CD
プレーヤーやアンプも、英国製でそれぞれ5万円程度で揃えられるとのことだ。この店では一番
安い価格のものなのである。

まあ、だいたいそんなものであろうとは思う。その一番安いアンプかCDプレーヤーのどちらか
しか現在のところ買えそうにないので、だいたい判りました等と言って店を出た。駐車場には格
好いい輸入ものらしいスポーツカーが停まっていたが、やはり相当な金持ちでないと、この様な
すごいオーディオは揃えられない。私は中古のスターレットに乗り込んで店を後にしたが、走り
出したら偏頭痛がしてきた。毒気に当てられた訳でもあるまいに。

私がこの店で一番驚いたのは、電気を取る差込口が4つとか8つあるテーブルタップだった。よ
く延長コードの先に付いているあれだ。すでに売約済みの紙が貼ってあるそのテーブルタップは
定価が6万6千円とか11万円の価格だったのである。いくら電源からのノイズを除去するとは
いえ、電気の差込口が4つ付いた物が6万円とは...。まさに絶句状態になってしまった。

まあ、スピーカーを乗せて置く台でも6万とか8万円もするのだから、もうこれでオーディオを買う
のは私の人生では最後の機会になるだろうとはいえ、この店では難しいと言わざるを得ない。
日本製でいくらでも手頃な物があるし、どこら辺で妥協するかということなのだろう。
♪よ〜く考えよ〜 お金は大事だよ〜 などと口ずさみながら、やはりニィキュッパのデジカメが
いいかなと、また考えたりして思い切りの悪さを発揮していたのである。

('04年3月13日)


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