福井の小さな山歩記


番外編 石川県・大日山(’00・08・26)


大日山(1368m)は、福井と石川の県境から500mほど石川県側へ入ったところに頂上がある。
山中町と小松市の境にあたる。山中町の我谷ダムの堰堤を渡って右、県民の森を頼りに車を走ら
せるのだが、道路地図を持って来なかったので、すごく良い道にとまどってしまう。何処まで行けば
よいのか判らなくて不安になる。そのうちに良い道が終わり古い道に降りる形になるが、そこに標
識があった。

真砂(まなご)集落跡の鎖で通行止めになっている所に車を止め、7時45分に歩き始めた。10分
ほどで大日山の案内板のある所へ着く。なんとコースが二つあるのだ。そこで徳助新道を登り、下
りは大日避難小屋経由と決めた。同じ道を使わず縦走みたいな感じで歩ける。


登山口の案内図

古い神社の横から登り始めるのだが、なにやら新しく出来た道と云う感じがする。昔から踏み固め
られた様な道でない。すぐ割と急な登りとなるが、斜面をほじくって足が掛かるようにしてある。良く
云えば階段状にしてあるのだが。30分程歩いたら、なんとなく今日は急に汗をかきすぎたのか、こ
のままではまいりそうな気分なので休息を取り、甘いミルクコーヒーを噛む様にしてゆっくりと飲む。

今度は安定した体調となって1時間半で「徳助の頭」(1053m)に着く。加賀甲の避難小屋が見
える。尾根伝いに短い時間で小大日山(1198m)へ、見晴らしの良いところだ。そして一旦下って
大日山へは急登で始まる。登山口の案内板の距離があやふやに頭に入っていて、小大日から1k
mだと勘違い、実際は2km近くあり、すごく長い距離に感じてしまった。1時間15分位かかった。


大日山山頂

山頂はいくつもの標識が雑然と建てられている。今日はわりと雲が多く景色は霞んでいて近くの山
は見えるが遠くの山は見えない。チーズでビールを飲み、柔らかくなっているバナナを食べ、あまり
食欲は無いがいなり寿司を3個お茶で流し込んだ。40分位頂上で過ごし加賀甲に向かう。


大日避難小屋

下って笹藪の拡がるカタコガ原を横切り少しの登り。このころ日射が強くなって辛く感じたが、これが
今日最後の登りだった。勝山の恐竜博のドームが鈍く光って見えた。35分位で加賀甲(1312m)
の避難小屋に到着。入り口の前にまむしがとぐろをまいていたので、ちょっと突っついてどいて貰う。
ノートがあったのでちょこっと記入して出ようとしたら、蛇は2匹になっていた。

加賀甲からは下る一方で、歩幅を小さく普通に歩く様気を付ける。幸い歩きやすい道で最後まで膝
や足首に疲れを感じることなく下山することが出来た。2時間近く黙々と下るのみだからいろいろと
考えたり想い出したりするのであるが、車で登山口に着いたらアブに襲われて左ひじの辺りがかゆ
い。そんなことから2人の子供がまだ小学生の時、家族で鳩ヶ湯の手前の打波川の河原でキャンプ
をしたことを想い出した。夕方すごいアブの大群で、どうしようもなくて車とテントに別れて無線で話を
していたのだ。それも日が暮れて気温が下がると一匹もいなくなってしまった。ついてないのはそれ
だけではなかった。翌朝4時頃、ふと目が覚めて外を見ると川の水が増水してテントに迫っているで
はないか、みんなをたたき起こしてあわてて撤収である。15分後には家路についていたのである。

今日は沢山歩いた。7時45分に歩き出して車に戻ってきたのは3時45分になった。下山してから
清流で顔を洗ったり、神社の写真を撮ったりした時間もあるが、6時間半近く歩いたことになる。

登山口の大日山の案内板の裏側には、真砂集落を引き払った方達のつぶやきがしたためてある。




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