還暦つれづれ草


電話セールス


会社に居て私宛に電話が掛かってくることはあまりないのであるが、それでも時々電話の窓口である
総務の女性が取り次いで来る。昨日も「○○○のワカイさんから電話です」と連絡があり、○○○が某
大電器メーカーだったので、何かなと思って受話器を取ったのだが、なれなれしく「お忘れになりました
か」とか「前にお電話したカワイです」などと言うのだ。おまけに私の卒業した高校の名前をだすし、「経
済学部を出て就職して、今年ニューヨークに英語の勉強をしに3年間行くことになっていたが、会社の入
っていたビルが例の同時多発テロで崩壊したのでダメになった」とか言うのである。

それで明日福井の方へ行って12軒ばかり挨拶に廻るので、常勤監査役の処へも挨拶に寄りたいので
行ったらお茶の一杯でも頂ければ等と言うのだ。やたらに常勤監査役を連発するので可笑しいなと思い
ワカイがカワイだったので、ひょっとすると○○○も違うのではと「失礼ですけどどちらの会社でしたっけ」
と聞いたら、なんと商品相場の会社だったのである。

そうと判ると、こいつは嘘八百を並びたてているなと思わざるを得ない。会社四季報か有価証券報告書
で調べて電話を掛けまくっているのだろう。有価証券報告書には卒業した学校の名前まで記載されてい
る。私は大学を出ていないので高校の名前が載っているのだ。
監査役などは小金を持っているだろうから、ちょっと巻き上げてやろうと云ったところなのだろう。向こうも
ノルマがあって必死なのかも知れないが、口からの出任せや、しつこいのは良くない。それに金に余裕
のない私に営業を掛けるなど更々良くない。

名古屋からだとのことだったが、「無理なことは云いません挨拶だけです」など言うだけ言って切ってしま
ったのだ。何が高校の後輩だ!何がニューヨークに英語の勉強だ!聞いて呆れるとはこのことである。

そして今日会社に着くなり電話があり、何か大変なことでも起こったような口振りで「昨日お勧めしたトウ
モロコシが暴騰して・・・」どうのこうのと訳のわからんことを口走るのだ。第一昨日はトウモロコシの話な
ど全くしていないし、そもそも相場に関する話などはしていないのであるから、ヘタな演技でこの男の正体
が白日の下に明らかにされてしまったのである。

そうなるとあとはもう絶叫調で話を聞いて欲しいとがなりたてる。こちらは個室で誰にも気兼ねがないので
思い切り大きな声で「そんな話は絶対聞かない」と言って電話を切ってやった。あたら将来のある若い身
を人を騙す様なことをしてまでやる仕事など、早く辞めたほうが良いのにと思うのである。もし来たらそう言
ってやろうかとも思っていたが結局は現れなかった。向こうにしてみれば日常茶飯事のやり取りなのか。

(’01・11・27)


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