北陸の峠道


榎坂

やっと今年初めて峠巡りをすることが出来た。前回の猫坂峠から4ヶ月ぶりである。榎坂は鯖江市の
南井・大正寺と福井市の西袋を結んでいて、峠は文殊山と広野山の鞍部にあり、標高は150mほど
である。今は峠の下をトンネルが通り抜けているのだが、いにしえより信仰の対象だった文殊山の登
山道にもなっていたことから、古道ではあるが鯖江市側は遊歩道として整備されていて、これからも
ずっと峠道であり続けると思われる。

文殊山とその麓の楞厳寺(りょうごんじ)は、共に奈良時代に泰澄大師によって開かれたと言われ、
この辺り一帯は鎌倉時代から戦国時代にかけて最も栄えたという。この峠道は表参道とも云われてい
たこともあったとか。朝倉氏の時代には、東隣にある戸ノ口坂と共に軍事的にも重要な路だったに違い
ない。

またまた失敗をやらかしてしまった。例によって何の疑問もなくトイレの近くの立派な駐車場に車を置き
歩き出したのだが、案内標識は沢山あるがとても急な登りで、こんなところを朝倉氏の軍馬が通ったのか
ななどと思いながら登ったが、途中でおかしいことに気づいた。随分と登ったのでもう少しと登ってみたら
奥の院へ280mという稜線に出てしまったのだ。雨なので稜線歩きは止めてすぐに降りた。南井町から
登ってしまったのである。中部北陸自然歩道となっていた。

 

妙真寺からの登り口にある石仏                              登り口    

鯖江市大正寺町の妙真寺の前に「榎坂峠・文殊山登山口」の標識がある。歩き出すと道幅が広く、擬木
の段々が整備されていて先程の道とは雲泥の差である。段々が終わると歩きやすいなだらかな道が続き
少しジグザグに登ると間もなく榎坂峠だ。妙真寺からおよそ15分で着いた。さすが昔から使われた峠道
だなと思わされる。春秋の散策にいいところだ。

 

榎坂峠 説明板の岩題目はこの先220m                     福井市側からの方が峠の雰囲気がいい

 

     峠の石仏 ムシロは元に戻しておきました

石仏やベンチ、大きな説明板などがあるが、標識が多すぎて雰囲気を壊しているような気がするのだ。福井
側へ200mばかり降りたところに岩題目という岩に何か書かれたものがあるらしいので行ってみる。しかし
雨なので側で写真を撮るだけにした。そして福井側へ降りていくと鯖江側と異なり道は良くはないが、15分
くらいで西袋町のトンネル口に出ることが出来た。西袋の集落が見下ろせ、あとは舗装道路となる。



左手の山道が榎坂の道 福井市西袋町側のトンネル口

峠に戻り、文殊山の方へ少し登ってみたら、すぐに送電線の鉄塔があり、そして長い階段が見えたのでやめ
にした。峠付近は雨に煙って下界は見えない。お腹も空いてきたので車へ戻ることにした。車でパンやバナナ
を食べてからトンネルを抜けて大村の集落奧の楞厳寺の写真を撮って帰路についた。楞厳寺横から文殊山へ
の大村登山コースが始まっている。

(’03年2月22日)


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