福井の小さな山歩記


袴腰山・三方山・小瀬峠(富山県)

土日と晴の予想なので気持ちよい秋の日に家に居ることはないと、カミさんと土曜日に能登へ泊まる。
日曜日朝5時少し前に出発。高岡から高速にのって東海北陸自動車道を走っていると、じきに台形の
特徴的な袴腰山が見えてくる。五箇山ICで降りてすぐの菅沼合掌集落を抜け、林道を6kmばかり登る。
池ノ平キャンプ場入り口に袴腰山登山口の大きな標識がある。

露に濡れた草を踏んで7時20分に歩き出した。道は細く雑草が繁茂していてズボンはたちまちビショ
濡れになる。それがだいぶ続くのだ。あまり歩く人がいないのだろうか。やがて尾根を登り始めると道は
広めになり、細い急な尾根を木の階段を登ると平坦になって、道端に袴腰山最高地点の標識があった。

 

袴腰山最高地点(1163m)                       この様な見事なナナカマドがいっぱいあった

すぐ先に展望台がある。ここで大笑いをしたのであるが、ここに登る人は鎖の下がっている梯子から登ら
ないと難しいことになるかも。眺望は勿論素晴らしい。ここまで1時間強だったが、この辺り赤い実を無数
に付けたナナカマドがすごい。次は急な下りでロープの世話になる。下り終わる頃から送電線の巡視路
となって道は歩きやすい。そして鞍部はなんの表示もないが明らかに峠だ。両側に降りて行くシッカリした
道が確認できた。

登り返すと見晴らしの良い送電線の鉄塔のある処へ出る。そこでおやつ休憩とした。そこから少し下った
見晴らしの良い穏やかな尾根に鳥越峠があった。990mの高さなので峠を越えるのは登山みたいなも
のだ。両側に降りていく道の名残が見られた。現在はダムとなっている福光町臼中と上平村の小瀬集落
とを結んでいたので、昔は臼中峠と呼ばれていたらしい。

 

        鳥越峠(990m) 右側に道の名残             峠からは城端の街が見渡せる 昔の人もここから眺めたのだろう         

峠から一息登って1103.9mの三角点のあるピークへ。青い空に白い雲、風もなく見晴らしの良い尾根
道で気分爽快なのである。カミさんと今日は良いところを歩けることを喜んだのだ。また鉄塔があってゆる
やかに登ると三方山の標柱があった。頂上と云うより道の途中なのだが、若いブナ林の中の感じの良い
道だ。

 

三方山頂上                              三方山はブナ林に覆われている

その先は緩い登りがあって猿ケ山との分岐点があり、左へ下ると立派なブナの原生林で、黄葉の時は
さぞかし素晴らしいと思われる。周囲を眺めながらゆっくり下ると、gpsで1075m位に左に曲がる巡視路
あり、1008m位に鉄塔そして980m位に左に入る細い道があった。ガイドブックでは1000m地点に近
道とあったのでその細い道へ入ったのだが、やたら倒木が多く道も危なっかしい処もあって、奇岩があって
道は間違いないらしいのだが、引き返して元の道を下ったのだ。



キャンプ場に戻って昼食

これは全くの正解だった。間もなくアルミの梯子で林道へ出ると、平坦な林道の先にキャンプ場の芝生が
見えたのである。12時15分頃にキャンプ場に着いた。我々の車がポツンとあっただけで誰もいなかった。
トイレなどはあったが、肝心の水は出なかった。広場に陣取ってビールを飲みラーメンなどを作って、ゆった
りした時間を過ごし満足感を味わったのである。

時間に余裕があるので車で林道をさらに進むと、袴腰山の峰越登山口がある。車が林道に3台停まって
いて一組のご夫婦が山から下りてきたところだった。ここから登ると近いらしい。道の反対側に登って行くと
狭い尾根を行く感じで30分近くで小瀬峠にでた。城端町瀬戸と小瀬集落を結んでいて、城端側からは米、
五箇山の方からは生糸や塩硝(火薬の原料)が運ばれたと思われる。また、この峠道が西赤尾の行徳寺
の裏手から登っているとかで、関係する城端の善徳寺との間での行き来もあったと云われる。



林道を下る途中から見る小瀬峠(真ん中の鞍部・940m)

峠にはお地蔵さんの台座らしいものを残すのみで寂しい。木造の小屋の残骸が見られた。一段下がった
処にコンクリの廃屋がある。小瀬集落からの道は、送電線の巡視路として整備されているのではないかと
思われるので、完全に辿れるみたいだ。なにせこの近辺の山々は送電線の巡視路が縦横に通っているの
である。

今日の締めは、上平村営くろば温泉(600円)だった。

('03年10月5日)


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