北陸の峠道
橋立峠
今日は天気が良いので九頭竜紅葉祭りを覗きに行こうということで出掛けたのだが、近く行ってみたいと思っている
橋立峠へ通じる林道を確かめに寄ってみることにした。林道へ入ると、これがなかなかいい道で、行けるところまでと
思っているうちにどんどんと高度を上げてどうやら峠下の終点まで行けそうになってきたのだ。
橋立峠は大野市の上打波から岐阜県の石徹白へ抜けた道で福井と岐阜の境にある。石徹白から桧峠を越えて長滝
寺へ通じ、福井側は嵐谷から桃の木峠を越えて大野の街へ。平泉寺へ通じていたのかも知れない。昔は重要な道路
だったらしい。
林道終点 左端近くの岩場を這い上がりピークを越えて行くと峠 大崩落跡の上の県境の稜線に出られる
道は舗装が切れると終点となり、大地滑り跡を修復した壁とそれに連なる県境の稜線の山々を見上げる処となる。軽
自動車が1台停まっていて、左の急斜面を落石を伴いながら年輩の方が降りつつあった。話を聞くと峠までの道の草刈
りをしているのだという。ボランテアということらしい。これには感心させられた。峠はこの上でゆっくり歩けば危ないこと
はないと、登れと云わんばかりなので、せっかく来たのだからと登ることになったのだ。手袋を付けなければ駄目だと強
く云われてしまったので、車の中を探して一組あった軍手をカミさんと片方づつ付けて登ることにした。
最初はひどく急で滑る危ないところを両手も使ってゆっくりと登る。おっかながり屋の人はやめた方がいい。下りが大変だ。
現にカミさんは下りに足を滑らせて危うく細い枝にぶら下がって止まったのだ。ヒヤリとした一瞬だった。あとは薮を分けな
がら登るが、あと峠まで10mか20m位と思われるところからが根曲がり竹というのかの中で道があやふやになって苦労
した。でも、うまいこと写真にある記念の柱の処へ出たのだ。ここが峠だ。ついつい、さっきの爺さんにここから先に刈って
欲しかったなと思ってしまったのである。
笹藪の中の峠の目印 「その昔先祖往来の路登攀記念」と書いてある
ところが、そこから先は岐阜側にはっきりとした、まさに峠道というべき深く掘れた道が下っているのだ。ずっと降りて
行きたくなる様な道なのである。昔は交通量が多かったことが窺われる。峠は薮の中なので稜線に出てみると、そこ
には素晴らしい眺望が拡がっていた。石徹白側は今年雪の上を歩いた和田山牧場跡や遠く桧峠までが見える。昔の
旅人もこうやって景色を眺めながら一休みしたに違いない。
峠から岐阜県側の眺め 写真の解像度が低くぼやけているが
帰りは車のギアをLowにしてのエンジンブレーキで紅葉を眺めながらゆっくり下った。この林道には3カ所に石仏が道端に
置かれていた。昔からあった物か、17年にも及んだ地滑り止めの大工事の安全を願ったものかは判らないが、石仏は比較
的新しいように思えた。
('03年10月25日)