隠れ家とその周辺点描
岩倉山
建物でトンネル口は見えない
輪島から249号線を曽々木へ、窓岩という穴の開いた岩の在るところにトイレ完備の駐車場
がある。そこに車を置いて曽々木隧道の方へ歩いて行くと、行く手に海まで突き出た岩山が
そそり立っている。昔は「能登の親不知」と言われた交通の難所で、岸壁の下の海岸の道は
日本海の荒波のため通れない時は、この急峻な岩山を越えなければならなかったのだ。
そこで今日はこの山越えの峠道を歩きたいと思って来たのだが、案内の看板は千体地蔵から
岩倉山(357m)、岩倉寺を巡る自然歩道しかなくて、山を越えて真浦へ降りる道の記載はな
かった。しかし、千体地蔵への登り口が「みのまくり坂」登山口とあったので、これが「みのまく
り越」の道だと思われる。
千体地蔵
難所と云われるだけあって急登で丸太で整備された階段が続く。段差が大きいので大変なの
である。やがて千体地蔵への分岐点に着く。350mとあったが、これまたすべてが段差の大き
い階段で大変なのだ。急峻な崖の途中の岩が自然の浸食で、小さい地蔵がぎっしりと彫られ
た様な感じで、なるほどと思う。しっかりと足下が整備されていて、すごくお金が掛けられている
と思った。当然見晴らしは良くて、窓岩や車を置いた駐車場などが真下に見下ろせる。
元の道へ戻ってまた登り始める。尾根に出るまで殆ど階段だった。少しでも平坦な道へ出ると
ほっとする。左側は沢でやがて稜線に出ると「右岩倉山、岩倉寺、左は見晴らし良い」と書いた
看板が立っている。左へ少し登ると確かに見晴らしの良いピークとなっていてベンチがあった。
しばし休憩としてバナナを食べる。傷んだところを切り取って山盛りにして50円というヤツだった
が甘くて美味しかった。道は行き止まりだったが、峠越えの道があってもいいような気がする。
頂上付近の石像 頂上の2等三角点
戻って稜線を岩倉山へ向かう。尾根道は落ち葉の道だ。間もなく断崖の上に出る。展望台にも
なっている。やがて岩倉山へは左の急な道へ別れる。頂上付近にはお地蔵さんか観音様か古
い石像が2カ所にあった。2等三角点もあった。放送局のアンテナも建っていて、岩倉寺からの
遊歩道と思われる急な坂道が下っていた。
岩倉寺 本堂は工事中みたいな布が掛けられていた
元の道へ戻り、岩倉寺で昼食にと思って歩いて行くと、ずーっと階段の下りで岩倉寺は麓の方
だったのである。寺からは舗装道路があり遊歩道もあるはずなのだが見逃して、結局自動車道
を歩いて窓岩へたどりついたのだった。丁度雨が降り出して車へ駆け込んで昼飯となった。
岩倉寺は1300年あまり前の開山で古くより人々の信仰を集めていたところらしい。石の参道が
古さを感じさせる。石仏もそちこちにある。下って参道口へ出ると目の前に下時国家があった。
今日の道は距離にすれば短いが、急な階段の連続でだいぶ膝にはこたえたかもしれない。でも
海岸に屹立した岩山なので展望には事欠かない。帰り際に海岸沿いの崖下の道で、現在は「波
の花歩道」として整備されている道を歩いて見たかったが、雨なので車の中から「垂水の滝」をカ
メラに収めて帰路についた。海に直接落ちる珍しい滝だ。
真浦側のトンネル出口と垂水の滝 遊歩道も見える
(’00・12・10)