還暦つれづれ草


緊急事態発生

遅い朝食の後で雪のちらつく外を眺めながらコーヒーを飲んでいたら電話だ。カミさんの受け答えを
聞いていると、どうやら息子の嫁さんで、2歳3ヶ月のりょう君がよく眠っていたので、そのままにして
ちょっと外出して戻ったら、ドアの内側の特殊なチェーンロックが掛けられていて家の中に入れないと
いうのだ。

りょう君が起き出して、何か台を持ってきてチェーンロックを掛けたらしい。当人はテレビをつけて見て
いるとか。少し開くドアの隙間から手を入れて外そうとしたが、外からははずせない構造なのだとか。
隣の旦那なども出てきて試みたのだがダメらしい。なにやら大騒ぎになっているみたいなのである。

なにしろ私の家に電話してきたのも、隣の人の携帯電話だ。会社にいる夫(私の息子)にも電話した
のだが出てこないという。それもそのはずだ、彼は携帯を家に置き忘れていたのである。私はすぐに
息子へメールを送った。すぐに息子から電話があって、隣の人の携帯の番号を教えたのである。

あちこち電話をしてもロックははずれはしないのだが、嫁さんも初めは気が動転していたに違いない。
大人達がドアの前でいろいろと試みたのだが、最終的には中にいる りょう君に開けてもらうしか方法
はないという結論に達したというのだ。そこで少し開いたドアの隙間から分厚い本を差し入れて高く積
み上げ、「お外に遊びに行くからドアを開けて頂戴」と、りょう君の大好きな外出をエサに呼びかけたの
だ。この作戦は見事成功、りょう君は積み上げた本に乗ってチェーンのロックを外したのである。

子供は大人のすることをよく観察しているものである。 それにしても りょう君は1人にされて用心の
ためにいつもお母さんがするようにチェーンのロックを掛けたのだろうか。カミさんは「そんなことはない
」と笑うのだが、これは大人に対する警告なのかも知れない。火あそびでもされたら笑い話ではすまな
いのである。

彼は起き出してからテレビを見たりして、1人でいることの気楽さをちょっぴり味わったのだろうと私は
思った。

('04年1月8日)


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