還暦つれづれ草


肩の荷


やっとではあるがお目出度い出来事なのである。私の長男が30過ぎにしてやっとのこと学校を
卒業して、社会人として独り立ちすることになったのだ。肩の荷が降りた感じというのか、これで
親の責任が果たせたと言うべきなのか、なにしろほっとした気分なのである。

これからは順調に仕事が続けられれば、親としてお金の負担も生じないだろうし、第一毎年被扶
養者の申告書に記入したり、私の健康保険の被扶養者にして貰うのに、在学証明書を提出して
くれなどと言われなくても済むのだ。

それに学校は、千葉県は房総半島の田舎だったから福井からは遠い。めったに会いにも行けな
かったが、最初の赴任地が東京だというから、これからは会う機会もつくりやすいし、東京へ行っ
たときに無料で泊まれる所ができたなどと都合の良いことを考えたりする。 どの辺かなとめった
に開いたことのない地図帖をひもといて、虫眼鏡をかざしながら探したのである。

杉並区の中央線の駅の近くなので食事を摂るのは不自由しないだろうし、昼食は仕事先で摂れ
るらしい。所帯道具などはどうなっているのかな、前に持たせた小型の炊飯器はまだあるのかな
などと思いを巡らせる。でもやっぱり一番気になるのは初任給なのだ。

しかしながら、あまりしつこくお金のことを聞くのは気が引けると言うか、なじまないと云う雰囲気
なのだ。 何故かと云うと息子の仕事は「牧師」さんなのである。

(’01・02・23)


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