北陸の峠道


風吹峠・月惜峠

なかなかの名前のこの二つの峠は、石川県の獅子吼高原を挟むようにして在り、金沢市側を
流れる内川沿いの集落と鶴来の町を結んでいた生活を支えた峠道であった。現在は内川ダム
が出来、金沢から道が付いたし、ダムに沈んだ集落もあり、峠を越える道は使われなくなってし
まったのである。

風吹峠には、鶴来町の金剣宮の裏手の朝日住宅団地入り口から山手に入り、突き当たりの
堰堤横から登る。中部北陸自然歩道となっているだけあって、細い道だがしっかりした道で杉林
を緩やかに登って行く。シニア向きというか、私みたいに還暦を過ぎて峠を歩くには程良い道だ。
林の中なので特別暑いということもなく、たんたんと歩いて45分程で立派な舗装道路に出る。



風吹峠への道

すぐに軽トラックのお爺さんに呼び止められて道を訊かれてしまった。マラソンの人、自転車で走る
人、勿論自動車も通る。その舗装道路を横切って数十メートルで風吹峠に着いた。小さい石仏が
沢山並んでいる。だいぶ倒れたりして壊れているのもある。でもこの様に小さいものが沢山あるの
も珍しい。

 

風吹峠の祠と向かいの小さな石仏 もっと沢山ある (峠の標高500m)

強い風が通り抜けたという風吹峠だが、今は樹が生い茂っている。峠の両側は舗装道路が走り
今日はすぐ下でショベルカーががんがんと音を立てて作業をしていて雰囲気を壊している。峠は山道
が交叉しているのだが、獅子吼高原方面は舗装道路があるため歩く人も無いのか踏み跡が不鮮
明となっており、2百メートルばかり藪漕ぎに近い状態だった。でもそこを歩いたおかげ舗装道路は
百メートル位しか歩かなくて済み、すぐに馬の背コースと呼ばれる尾根道に入った。

夏草がだいぶおい繁っていたが、杉林は風が涼しく、まだ真夏の暑さではなiい。平坦に近い稜線
歩きで、やがて展望台に到着、ここが後高山(しりたかやま)頂上らしい。遊園地みたいな広場を通
り抜けると無料休憩所とトイレの間に奥獅子吼山及びパーク獅子吼への下山道の標識があった。



月惜峠 (峠の標高580m)

まだ11時頃なので遊園地を後にして山道に入る。ちょったしたアップダウンがあって、小屋のある
分岐点に着き、11時半になっていたので道の真ん中に腰を降ろして昼飯とした。食事をしていたら
5・6人の高校生らしい若者がパーク獅子吼の方から登って来た。奧獅子吼山に行くとのこと、中高
年ばかり見ていると若い人達が登ってくると嬉しくなる。やはり子供の頃から山には親しんで貰いた
いと思う。
この小屋の中には三つの地蔵が置かれていた。昭和8年のスキー大会で3人の中学生が遭難した
のだと云う説明を刻んだ石碑も側にあった。

 

月惜峠への峠道 趣のある道だった

実はここが月惜峠とは知らずに(その様な表示が見当たらなかったので)降り始めたのだが、この
道が峠道の特徴である深いU字型、露出している岩は苔むして、雰囲気満点の峠道なのである。
道はつづら折りに杉林を下って行き、45分程の間、峠道歩きを堪能したのである。今日はこの道を
歩けただけで十分満足したと言えるくらいなのだ。しかし、ここを登るのは辛いかもしれない。

空高くパラグライダーやハンググライダーが舞、パーク獅子吼では大勢の人がバーベキューをしてい
た。でも何故か車の通りも少ない静かな道を歩いて車の所まで戻った。8km、4時間半ばかりの行
程だった。今日は2万5千図しか持って行かなかったが、峠の場所も名前も出ていなかったのだ。

(6月8日)
<2万5千分の1地図 「鶴来」>


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