北陸の峠道

越坂峠

越坂峠(こえさかとうげ)は、福井県は松岡町吉野と永平寺町京善の境にあり、昔修行僧がこの峠を
越えて永平寺に向かった。今は舗装された県道165号線が通り、旧道の面影を伺い知ることは出来
ないが、この立派な舗装道路も、越坂トンネルが出来てしまっては通る車も無く、冬期間は通行禁止
となっていた。

昨夜来降り積もった新雪を踏んで越坂一丁目の人家の切れるところから歩き出す。新しい長靴の足跡
がくっきりと綺麗だ。今年2002年は道元禅師750回大遠忌に当たり、登り口には真新しい「道元禅
師慕古の道」と刻まれた石柱が建っている。大遠忌を記念して道元禅師ゆかりの道をもとにお遍路道を
制定したという。この峠を越えればもう永平寺参道だ。

 

松岡町側峠手前の石仏

この石柱を過ぎた所にも石仏が道沿いにあるが、だいぶ登ったところにまた一つ石仏があった。福井??
松本四つ辻・材木商谷口なにがしとある。さらに雪を踏んで登って行くと右側に古い石の指標が建って
いる。「永平寺へ一里十九丁」とある。明治35年(1902)の高祖650回忌を記念して建てられた14本
の内の一つだとのこと。右側に「施主美濃今須下明 松井某 岩佐某」の字が読みとれる。ここが峠だ。

 

峠の指標「永平寺へ一里十九丁」と刻まれている

丁度道が永平寺側に下り始めようかという所に丸い大きな石があって細い字でなにやら刻まれているが
残念ながら判読出来ない。短歌でも彫られているのだろうか。そして少し下ると新しい祠に2体の石仏が
安置されていた。新しいとなにやら有り難みも薄く感じられてしまう。ここで引き返すことにした。



永平寺町側へ少し下った処にある 新しい感じの石仏

「一里十九丁」の石柱の処から細い道が登っているので旧道かなと登ってみたが、どんどん登ってしまう。
そこで少し戻って向きを変えたら送電線の鉄塔のところに出た。どうやら旧道などではなさそうなので引き
返したが、だいぶ遊ばせてもらって汗をかいてしまったのだった。

雪の降る道元禅師ゆかりの峠道には、あの托鉢姿の坊さんの行列がよく似合うのではないかと思われる。
帰りに「さのや」で「おろしそば」の大盛りを食べた。

(2月11日)


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