福井の小さな山歩記
金剛堂山(富山県)
金剛堂山(1637.9m)は、富山県の八尾町と利賀村の境にあり、前金剛、中金剛、奧金剛の三つの
ピークからなっていて、一等三角点のある前金剛を金剛堂山と呼び、祠や方位盤がある。普通は利賀村
上百瀬の奧の栃谷登山口から登るらしいが、東俣峠からや北の尾根を利用するコース、今日頂上で目の
前にひょっこり現れた方の登られた八尾町の大長谷川沿いの第4発電所(聞き間違いがなければ)の側
からの急登のコースなどがあるらしい。
この山は登山口まで家から3時間近く掛かる。それで歩く時間が短くて標高差の少ない東俣峠から登る
ことにしたのだ。車で林道を峠まで走るので、時間はたいして変わらなかったのではあるが。
東俣峠 広い駐車スペース トイレあり この蝶が沢山飛び回っていた
空は雲が多いが晴れで陽射しが強い。しかし登り始める頃からは雲がさらに多くなってきた。東俣峠に車
を置き砂利道の林道を50分ばかり、綺麗な蝶々にまとわりつかれながら登った。「一般車通行禁止」とか
「登山口には車を置く場所がないので、ここに車を置いて登って下さい」等とあるので、真面目に歩いたの
だが、登山口に到着した時、今来た道をRV車が登って来て登山口に車を停めた。ちゃんと車を置くスペー
スも造られているのだ。
最初はブナの林を通って、多少のアップダウンがあった後、高い樹木が無くなって高原みたいな感じの処
へ出る。そこからはずっと草原状の尾根歩きで気持の良い道である。多量の雪と強い風のため、この様な
草原になったのだろう。池塘もあるのだが、そのせいか道もぬかるみが多い。すぐにズボンの内側が泥に
汚れる。遠くまで見渡せたがいまいち雲が邪魔をして立山や白山、乗鞍などは望めなかった。
奥金剛の山頂
登山口から1時間程で奥金剛(1616m)に着く。頂上らしくない広い処で、これから20分位で登れる中金
剛(1650m)が目の前だ。中金剛が一番高いのだが何も目印が無いので、おかしいなと思いつつ通り過
ぎてしまう。ちょっと下がった処に石碑がポツンとある。前田利保が金剛堂山からの景色に感動して詠んだ
と云われる歌が刻まれている。
「飛騨信濃 木曽の峰々 みな見えて 西はのこさぬ 白木やまかな」
当時、富山藩では、この山を西白木峰と呼んでいたという。私は歌心がないので判らないのだが、これは
なかなかの歌らしい。
奥金剛から見た中金剛 左の山
そこから少し下がって登り返すと前金剛、一般に云う金剛堂山に着く。ちょうど12時頃で、ここでゆっくりする
ことにした。しかしこの時周囲はすべてガスに包まれてしまった。大きな方位盤のフチに腰を下ろして、まず
は冷たいビールを飲んだのである。
前金剛・金剛堂山の山頂 一等三角点の石柱は大きい
中年の夫婦連れが多く、マイクロバスで来た6人連れの高年のグループもいた。ただ一組、2人の子供を連
れたお父さんがいたのが嬉しい。と云うか救われた様な気がしたのである。
登山道の両側には、まるで植えたように小さな赤い花?を付けた草がずっと続いていた。
無事下山して車で栃谷登山口に寄り、顔などを洗ってさっぱりした。頂上でお会いした夫婦が下山して休ん
でいて、奥さんは山初心者とかで、盛んに辛かったと話しかけてきた。別の家族がテントを張って食事の準備
でもしているのだろうか、子供が飛び回っていた。すぐ近くにキャンプ場があるのだが、ここですればタダだし、
静かだ。水もトイレもある。
久しぶりに道らしい道を歩いたような気がした山歩きだった。標高差は約450m、往復5時間程の歩きだった
ので比較的楽だったし、カミさんとゆっくり歩けたのだった。
('03年8月16日)
2万5千分の1地図 「白木峰」
今回は、山と渓谷社刊 「分県登山ガイド 富山県の山」 68pを参考にしました。