北陸の峠道

松瀬峠

松瀬峠(標高680m)は八尾町東松瀬と小井波とを結んだ道にあり、夫婦山の男峰・女峰の
鞍部である。小井波の登り口の近くには「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の・・・・」で知られる猿丸
太夫の塚がある。

八尾の街中、北陸銀行の処を左へ曲がって桐谷へ向かう。桐谷から案内に従って小井波へ、
水芭蕉の群生地を通り過ぎると小井波に入る。夏にだけ使う素朴な古い農家が数件あるのみ
と聞いていたが工場群?がある。まだ先なのかなと思ったが、登山口の案内板があり、すぐ
に登山口があった。登山口は養鶏場と思われるフェンスの横で、妙なる臭いが漂っていたの
である。
 

     登山口 養鶏場と思われる臭いが漂っている                 中部北陸自然歩道の案内板

靴を履き替えたりしていると車が2台到着、男性が一人づつ乗っていて我々夫婦の後に続い
て登りだした。 最初は車も通れる林道を数百メートル進むと左へ山道へ入る。すぐに林道を
横切る。途中分岐を示す石の道標があり「右山道 左松瀬道」と読みとれる。



昔の道標  右山道 左松瀬道とある

杉林の道は林道を横切ってから丸太の階段が多くなり急な道だ。峠までは30分程で登れた
が峠直前は段差のある階段で、すごい急な峠道だ。東松瀬から上がってくる道も、最後は急
な階段になっている。昔は生活道だったのか、それにしても急な峠道だ。
お地蔵さんは見当たらなかった。東松瀬の方へ降りる途中にでもあるのかもしれない。

 

         松瀬峠                          左:東松瀬 右:小井波 上:女峯へ 手前:男峯へ

今日は台風の影響か風が強い。その為か気温は高いがあまり汗をかかず暑さを感じない。
男峰は展望台を経て行くが、風はますます強くなり、岩の展望台には怖くて立てない。お尻
を移動させていく。それにしても男峰は岩山みたいで急だ。岩の間を通り抜けたり岩壁の横を
歩く。岩山は木々の根の張り方もすごいものがある。15分もかからずに頂上だ。784m二等
三角点がある。



夫婦山(男峯)山頂 784m 左の石は方位盤

眺望は素晴らしい。笠ケ岳、槍ケ岳、薬師岳、立山、剣岳等々が一望出来た。富山空港も
はっきりと見える。風が強いために良く見えるのか。その代わり立ったままで写真を撮るのは
難しい。 女峰(740m)へは緩やかな道で頂上は杉木立の中と云った処だった。

我々は峠の木のベンチでビールを飲んだりしたのだが、女性二人が登って来て、間もなく女峰
に向かって登って行った。風は最高潮という感じだ。今日の登山者はこれが最後なのだろう。



猿丸太夫の塚

猿丸太夫の塚は夫婦山を背に、耕すこともなくなった荒れた田畑の真ん中にぽつんと寂しく
建っている。晩年をここで過ごしたという。隣りの山田村には「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声
聞くときぞ秋は悲しき」の歌を詠んだところと云う塚があるというし、全国各地に墓があるという
謎の人物らしい。でも何かがあって此処に塚があるのだと思うのだが、なんでこんな山奥にと
考えだすと切りがないのである。

(7月6日)
2万5千分の1地図 「八尾」


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