隠れ家とその周辺点描


モーゼの墓


能登半島は面白い。何しろモーゼの墓があるのだ。あの十戒のモーゼである。

国道159号線の押水町河原を宝達山の方へ曲がってほんの少し行った所にある。とても
綺麗に整備された公園となっており、バスの駐車場、普通車駐車場、トイレなどが完備さ
れていてモーゼ森林浴コースの一部となっているのである。そこへ行く道路の右手にモー
ゼの墓への案内を希望する方への案内人の家への矢印が掲げてあった。案内人を必要と
する程の所ではない様に思うのだが、詳しい説明でもしてくれるのだろうか。

入り口のポケットガーデン


普通車の駐車場を降りたところが素敵な雰囲気のあるところだ。ポケットガーデンと案内板
にあったが、若い二人が語り合うのにピッタリなところだ。石のテーブルや腰掛けがあるし、
芝生の緑が目にさわかだ。あの時代を思わせる石柱が立っていたりするのである。

歩く道は,擬木と細かいじゃり石で整備されており、アジサイが咲き乱れていて足を止めさせ
られる。額アジサイが綺麗だ。こもれびの小径,聖の小径(セイント・ロード)、安息の小径(re
pose road)などと名付けられた小径がある。そして墓のあるミステリーヤードがあるのだ。

三っ子塚古墳という三つの小高い古墳の真ん中、2号墳がモーゼの墓となっていた。一本の
柱が建っていて、それには「神人モーセロミユラス魂塚」と記してある。古墳への入り口の説
明板も立派なものだ。モーゼはどういう人物か?なぜ、この塚がモーゼの墓といわれるのか?
について書いてあるのだが、内容が乏しいのだ。


見にくいが「神人モーセロミユラス魂塚」とある柱

ここへ来られた方は記帳して下さいと記帳所が建っている。そこにもモーゼ伝説について簡単
に書かれている。住所と名前を記入した。昨日の金曜日には東京の人が記帳されていた。
古史古伝の代表作竹内文献の中に、モーゼは能登・おしみずへやって来ていると記されてい
る。モーゼは「十戒」を刻んだメノウの石(十戒石)をもって日本を訪れ、当時の天皇にそれを
献上した。たいへん感激した天皇は第一皇女の大室姫(おおむろひめ)を妻としてモーゼに嫁
がせた。やがてモーゼと大室姫は、新たな使命を帯びて離日した。大業を遂げた二人は再び
ここへ戻り、能登・おしみずに永眠した。この塚は三っ子塚と呼ばれ、中央の大きな塚にモーゼ
が葬られ、右側の塚に大室姫そして左側の塚に孫が葬られていると云われる。

古墳への登り口等には、石川県埋蔵文化財包蔵地と書かれた柱が立っていたのだが、残念
ながら私が頼りとしている「石川県の歴史散歩」(山川出版社)には全く出てこないのである。
すぐ近くの末森城跡は出ているのだが、この三っ子塚古墳は触れられていないのである。

しかしながら、なんともロマン溢れる伝説の森ではある。


(’00・07・15)



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