北陸の峠道
桃木峠
六呂師高原へ行くとき、大野の伏石(ぶくいし)で道がカーブして、すぐに右へ曲がる道がある。
落合・堂島・金山・小黒見集落へ行く道で、これらの集落を通って上打波の嵐谷へ抜ける道が
遠い昔使われていた。その峠が桃木峠で、峠に大杉があることで知られている。
古くはさらに打波谷から美濃俣谷を遡り橋立峠を越えて石徹白に出、桧峠を越えて美濃国へ行
ったと云う。
2万5千分の1地図には峠へ行く道は表示されていないので、林道がヘアピンカーブしている処
から沢伝いに道があると思われるので、まずはそこへ車で向かう。ところがその場所がGPSによ
ると地図の位置よりだいぶ手前なのだ。そこでもう少し先へ車で行って見ることにしたが、すぐに
崖崩れの箇所があって戻り、ヘアピンカーブの処から沢伝いに歩き出した。
この右側から歩き始める 右側には壊れた道がある
謎はすぐに解けた。先の方にもう一つヘアピンカーブがあった。手前から道が付け替えられていた
のだ。そこには二本の杉の木の間に石仏があった。「金山のみち」と書かれた標識が途中3カ所
ばかりあったので、この峠道はその様に呼ばれているのだろう。昔の金鉱山の名残も見られる。
2万5千分の1地図のヘアピンカーブの処にある石仏
更に広い道が続き、さっきの崖崩れの道を通ってRV車ならだいぶ奥まで行くことが出来るのだ。
やがて細い踏み跡の道が始まる。赤い布や白いテープに道案内されて行くと沢に降りて、渉った
り渉り返したり、沢の中の岩の上を歩いたりとなかなかの道なのだ。そのうちに残雪が多くなって
きて、道があやふやになる。赤い布も少なくなり下に落ちていたりして、これが道なのかい、という
感じになってくる。
顔を上げると峠の大杉が
雪の上を歩くのが多くなり、気を付けないとズボッと落ちることになるのだ。ふと上を見ると大きな
杉の木が頭を突き出しているのが見えた。峠だ。
峠の大杉と石仏 嵐谷側は雪だらけ
大杉の根元に石仏があり、その周りの石が何やら古い峠の雰囲気を出している。高度計は834m
歩いた距離は1.61km、1時間50分ばかり掛かった。大野の町の側の眺望はなかったが、反対
側は名も知らぬ峰々が連なって見えた。嵐谷の方へ少し降りてみるつもりだったが、一面の雪なの
でやめにした。まだこんなに雪があるとは思ってなかったのだ。それに、こんなに時間が掛かる道だ
とも思っていなかった。
でも、久しぶりに古い峠道を歩いて満ち足りた気分になった。赤い布や白いテープに感謝感謝であ
る。帰り道、車で落合集落への緩い坂を登る途中で振り返ると、今登ってきたばかりの桃木峠の大
杉が、黒くその輪郭を見せていた。
(4月6日)
今回はGPSの軌跡は上手く録れなかった。2万5千分の1地図 「荒島岳」「下山」
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3月26日(火)の福井新聞に「大杉守ってむらおこし」という記事が載った。林野庁の「森の巨人
たち百選」に桃木峠の大杉が選定されたそうで、大杉を保護して地域の活性化に発展させる構想
だとか。安全な登山道の整備も計画されるみたいだが、はたしてどんな形に整備されるのだろう。