隠れ家とその周辺点描


虫ケ峰


虫ケ峰は295.9mと低い山だが、あの峨山道が通っているので是非歩いてみたいとやって来た。
「伝承によれば修験者の修行場であったともいい、多くの真言寺院があったとも言われている」と
説明板にあり、麓の藤津比古神社も1314年まではこの山頂に鎮座したとある。古くから山岳信仰
の霊山として崇められてきたため、種々の伝説に彩られているらしい。
能登有料道路を横田ICで降り、県道23号線を中島町の町屋集落へ向かう。藤ノ瀬下出バス停の
少し先の町屋橋を渡って集落へ。集落入り口に念仏名号板碑と虫ケ峰の説明板がある。


その先の未舗装の林道を上がるのだが、確信が持てないので近くで野菜を摘んでいたおばさんに
訊いてみた。どうやら虫ケ峰までは自動車で行けるらしいのだ。でも峨山道を下るので車をバス停
に置いて林道を歩き出す。能登の山は優しい。低いせいもあるが暖かい秋がそう感じさせるのかも
しれない。
しかし林道は上の方で立派な広い舗装道路となり,そうなると木陰はなくなり、12月というのに日
射しが暑いのだ。もともとの登山道へ取り付くところが判らず,さらに登ると道路は工事中で重機が
何台も止まっていて,3人の方が側溝の工事をしていた。


大掛かりな林道工事 頂上は重機の辺りから左へ50m位い入る

若いお兄さんと目が会って、何処へ行くのかと訊かれたので、虫が峰と言うと「そこだ」と5mくらい
手前左手を指すのだ。確かに道があった。下るのに古い道があるのではと訊くと、峨山道は反対側
のノリ面の上に在るだろうとのこと。この広い林道に完全に遮断されてしまっているのである。これ
は予想外のことだった。 それにしてもこの山にこれ程立派な道路が必要なのかと思う程のもので、
もはや林道とは言い難いものなのである。


虫が峰山頂

とりあえず50mくらい先にあった頂上へ行く。頂上にはお堂や説明板があって,七尾湾の眺めもい
いし,なかなかの所である。 11時半だったので昼飯とした。 勿論今頃こんな処へ登る奇特な人は
私しかいない。


高いノリ面の上から蛾山道に入ることができた

12時に林道に出て反対のノリ面へ登って峨山道を探した。なんと立派な標識が小さな杉の木に寄
りかかって立っていたのである。 道は笹や雑草に覆われていたが確かにそれと判る。 道路工事で
山を切り取った時に置いた標識なのだろう。


杉林の中を下る蛾山道 沢山の石が趣を添える

笹や雑草を踏み分けて峨山道を歩く。もともとの虫が峰へ登って来る道へ分岐する処が在るはずだが
笹などに覆われていたのか判らなかった。最初は見晴らしの良い平坦な尾根で、その内急な下りに、
そして広い杉林の中を下り、小さな沢伝いに歩くといった変化に富んだ40分の蛾山道だった。

県道23号線を1時間近く歩いて町屋集落の入り口へ戻ったが、県道沿いには藤津比古神社、座主
家等がある。 また県道から1キロ入ったところに霊水公園があり「藤瀬の水」と呼ばれる名水を次々
と汲みにくる人達で賑わっている。普通乗用車で来ると300円取られるが、私は水を汲みに来たの
ではないということで,お金はいいですということだった。

(’00・12・02)


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