毎日が日曜日

1999年1月9日 土曜日

団地の昼間

 私の家は静かな住宅団地の中にあり、昼間は歩く人の姿をあまり見ない。歩
いていけるスーパーも無いから,出歩く理由もないのである。だから、昼間うろ
うろと歩いているのは、チラシを配って回る人とか、「今日は奉仕活動で、聖書
についてお話を云々」とか、「若奥様にためになる講演会のご案内を」等という
人達である。この講演会なるものも何かいかがわしい雰囲気なのである。  
「実践倫理なんとやら」の方も雑誌を無料で配布していく。なんとこの不景気な
な時にきまえの良いことか。文部省推薦なのだという。
 ついでに、某宗教団体の方々は、ウイークデイの時は一人で来るが,休みの
日には,必ずといって程子供連れなのである。マニュアルにそうしろとあるの
だろうか。 どの宗教団体か忘れたが、私の考えを述べたら、この家には悪魔
が居ると怒って出ていってしまった。

 また、見ず知らずの人からの電話も多い。その多くは,奥様はいらっしゃいま
すかとくる。まず,自分の身分を言わないのが礼儀知らずだが、いないと言うと
それならまたとか言って終わるのである。
たまにどちら様ですかと聞くと、聞いたこともない化粧品のセールスだったり
する。ナンバーディスプレイを見ると,非通知だったり県外からというのもあっ
た。                                            

 私を名指しで掛かってきた電話があったので,何事かと思ったらクロレラの
試供品を10日分送るので飲んでくれないかという。けっして押し売りはしない
が、10日分飲んだら健康相談員がお邪魔して健康状態をお聞きするという。
 ただならと送ってもらうことにする。                           
 それから試供品が届いたら電話を入れてくれと言われていたが、4日間ば
かり留守にしたら、その間にも確認の電話が何回もあったらしい。届いたとの
電話を入れたら、今度は何日の何時頃伺えば良いかとか、きちんと飲んでくれ
となかなか細かいのである。                               
 やっと相談員の来る日となり、約束の時間よりだいぶ早くやってきた。電話
はおばさんの声だったが、見えたのはおじさんで、66才とのことだったがとて
も元気そうだった。クロレラをずーっと飲んでいるせいか?            

 この元気なおじさんは、自分がなぜこの商売を始めたのかから,借金の返
済のために如何にいろいろな事を考え挑戦してきたかを1時間半にもわたって
熱弁を奮って帰っていった。ここではクロレラは売れないと早々に見切りをつ
けたからだろう。                                      
 でもこのおじさんのバイタリティには感心した。聞けば固定給はほんの僅か
で、歩合で稼がないと収入は少ないとのことだったから、今日も多くは望めな
いだろう。この仕事のために、家族中でクロレラを飲んでいるので、その金額
だけでもバカにならないらしい。                             

 この人は、こうやって人と話しをするのが好きなのだろう。         


 

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