還暦つれづれ草
春は山菜なのだ
この時期になるとカミさんがうるさくなる。わらびとコシアブラを採りに行こうと云うのである。まあ、能登の
掘っ建て小屋も正月以来行ってないので、天気が良ければ布団も干さねばなるまい。そこで久しぶりに
能登へとやって来た。陽も暮れようとする頃に着いたのだが、カミさんは早速小屋のまわりをうろついてい
たのだ。
一応雑木林の中の掘っ建て小屋なので、中はコオロギの親戚みたなのがぴょんぴょんはね回っているし
ゲジゲジ?が歩いていたりする。雨漏りが直らないのは困ったものだ。でも、小屋の周囲はコシアブラの
宝庫なのである。わらびも多い。カミさんはわらびの沢山ある所を心得ていて、楽しみにしているのだ。
コシアブラの芽 くせがなくて天ぷらや和え物で
温泉に入ってから(沸かすのだが)例の小料理屋「櫓」へ、最近の情報を仕入れに行く。近くに県緑化セ
ンターというのがあり、広くて散策するのにも良いと云うので、早速明日行ってみることにする。「やぐら」
ではいつも軽く飲むだけだが、カウンターにはママさんが採ってきたこごみやコシアブラ、タラノメがあって
天ぷらにして貰う。この時期豊富にタダで手に入るから、儲かるなあなどと思いながら食べたが、コシア
ブラの芽はまだ小さすぎるようだった。
翌日は朝7時前から行動開始。雨が降り出さないうちにと朝飯前に散歩がてらに出掛ける。まだ早いと
思っていたわらびも沢山あり、コシアブラは大きな木の芽はまだ小さかったが、小さなコシアブラの方が
芽は大きく出ていた。それが小屋の隣接地に沢山あることを発見したのである。しかし、その時急におお
つぶの雨が降り出し、欲を出したおかげで随分と濡れてしまったのだ。
コシアブラとタラノメ コシアブラはまだ少し小さい ぜんまいとわらび わらびはこの数倍採った
雨が小降りになってから、カミさんは一人で出掛けた。採るのが楽しいのだそうなのだが、わらびは採って
も次々と生えてくるからいいのだが、物によっては採り尽くしたら終わりと云う物もある。だから私はキノコ
でもそうだが、自分のところで食べるだけ採れば十分だと思うのだが、大方はそうではないらしい。何しろ
採り尽くしてあっちこっち配ってまわるのだ。あとから採りに行った人は丸坊主だったということになる。
貴重になってきた植物で、保存のため協力して下さいとの立て看板があっても、根こそぎ採って行く人達
がいるという。山菜を採る人と一緒にする訳ではないが、なにかしら寂しい気がするのである。
その後はずーっと雨だった。その雨の中、珍しく隣接地の旦那が来ている。小屋も建ててないのでまず来
ることはないのだが、今日は道沿いに看板を建てていた。この土地売りますというやつだ。私に買ってくれ
ないかとも云っていたが、当方もバブルがはじけてそれどころではないのである。
小屋の敷地にある木蓮
雨が止まないので、帰りに緑化センターの場所を確認してから帰ろうということになった。近くにこんな良い
処があったことを5年も知らないでいたとはと不思議に思ったくらいなのだ。いろいろな樹木の種子を採取
したりするので、多くの種類の樹木の林があり広大な面積らしいし、大きな樹も沢山あるので歴史も永いこ
とが判る。公園みたいになっているところもあり、身障者用駐車場の表示もあった。
聞くところによると季節によってはカブト虫も沢山いるらしいのである。桜の並木道を走りながら、これからは
ヒマの時にはここへ来て樹木の名前でも覚えようかなと思ったのである。
('03年4月19日)