福井の小さな山歩記


能郷白山(’00・07・09)


岐阜県と福井県の県境にある能郷白山(1617.3m)は、長い間難しくて体力がないと登れない山
であると思っていた。それは、私が福井へ来て初めて買ったガイドブックが、昭和52年11月発行
の改訂新版「福井の山と半島」で、それには「福井からの日帰り登山は無理」とあり「このコースは
高度な技術と相当の体力を必要とすものであるから、初心者のみや単独での登山は絶対にさける
こと」とあったからだ。それだけにいつかは登ってみたいと思い続けてきた山でもあった。しかし、今
は温見峠から簡単に登れるようになってしまった。

今日は天気も良いらしいし日曜日なので山は混むかもしれない。それで朝5時10分前に家を出る。
温見峠に6時半に着いた。それでも先着の車が3台あった。少し腹ごしらえをしてから登り始める。

30分も登っていると汗をかくが、そのせいなのか小さい虫が顔にまとわりつき、目や耳口や鼻に
まで入ってくるのだからたまらない。さすがに尾根に出るといなくなるし不思議と帰りはいなかった。

1時間とたたない8時少し前に、もう降りて来る人がいた。年輩の男の人だったがいったい何時頃
から登っているのだろう。


何かしまりのない頂上
汗をかく登りは1時間10分位で、あとは快適な尾根歩きといった感じで2時間位で頂上に着く。途
中アザミの花が沢山見られた。頂上はあまりパッとしないところで、すぐ先の展望の良い奥の院の
祠のある所へ行く。9時少し前で、祠の周りには6人の方が休んでいた。

9時ではまだビールを飲むには早すぎるので、笹藪を掻き分けながら少し先に脚を運んでみた。
そうしたら祠の所からは見えないすぐ近くに、ニッコウキスゲが群生していて、とても綺麗な所があ
った。早く着いてガスが晴れるのをじっと待っている方に教えてあげたら皆さん見に行かれた様子
だった。


群生するニッコウキスゲ
10時頃になると次々と登ってくる人がいて、周囲はあちこちで「とんちゃん」やらラーメンやらと匂い
とざわめきに包まれた。私もあまりのども乾いてはいなかったが、チーズで缶ビールを飲み、稲荷を
食べて降りることにした。10時15分位に腰をあげた。

奥の院から頂上の間で、岐阜の登山ルートをやってきたおじさんに声を掛けられた。先週は大日岳
に登ったそうで、昨日は白山へ登りたかったのだが台風3号のためやめたとか。私も今年の白山は
食事が出ないとかの話をし、また何処かでお会いするかもしれませんねと言って別れた。その間も
岐阜からのルートを登ってくる人が見えた。

頂上を通り過ぎようとした時、私の名前を呼ぶ人がいて驚かされる。三角点の側で派手にとんちゃん
鍋をやっている。若い頃、スキーや山登りで一緒に行ったことがあったが、ほんとに久しぶりという感
じだ。

昼に近づくにつれてガスも晴れてきて日射しが強くなってきた。次々と登ってくる人とすれ違う。今日
は登山者が多い。丁度12時頃に登山口に着いたが、15・6台の車が止まっており、この時間になっ
てもまだやって来るのだ。

今日は体調も良く快適な気分で登ることができた。ニッコウキスゲも良かったし、上で1時間半もゆっく
りして何人かの人と言葉を交わすことが出来た。これからはなるべく朝早く家を出ることにしよう。



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