還暦つれづれ草


お弁当


出張で名古屋にちょうど昼時に着いたら、地下の食堂街は何処も満員で行列している。 福井でも
昼時は勿論混雑はするけど、行列に並んでということはあまり見かけない。 だから名古屋に来て
も列に並ぶ気はしない。コンビニを覗いたら 、ここもレジの前に凄い行列が出来ていた。

今日は研修会なのだが、 その会場のあるビルの前通りではライトバンを停めて弁当を売っている
髪を金髪に染めた女の子がいたが、 黙って座っているだけで 、こちらの方はあまり売れている様
には見えなかった。

結局私は駅のビル内の「立ち食いそば」できつねそばを食べたのだが、 私にはこれが似合ってい
る様に思える。410円で割と美味かったし、あっと言う間に出来てくるのがいい。

毎日あの混雑の中で食事を摂ることを考えたら、 かみさんが持たせてくれる弁当を毎日食べられ
ると云うことは幸せなことだ。 第一、毎日700円程は必要になるのだから、月に1万5千円くらいの
小遣いの節約になる。 これはとても重要なことだ。これでたまには外で軽く飲めるし、山の道具も
買えたりするのである。

山の話の中によくバナナが出てくるが、弁当にもたいがいバナナが一本付くのだ。バナナは安いし
皮を剥くときの面倒がない。私にとってはバナナは、子供時代の夢だった。今は夢が叶って思う存
分バナナが食べられる様になった。叶った夢がバナナを十分に食べられる様になったことだけと云
うのも寂しいのだが。

子供の頃の遠足でお弁当を開くときの、何が入っているかなというドキドキとした気分が想いだされ
る。今はどうかと言うと、朝の食卓の上でかみさんがオカズを詰める。その余った分で朝飯を食べた
りするのだから、昼時「むむっ、今日は何かな」などと期待に胸を膨らませることなどないのである。

研修会場へ入ろうとしたら、先ほどの弁当売りの金髪のお姉さんは、ライトバンの後ろにお尻を乗せ
て膝を抱え込んでいるではないか。どの位売ったのか知らないが、まだ弁当が残っていた。もうやめ
て帰ればいいのになどと余計なことに気をまわす。 このお姉さんがもう少し明るい顔をしていたら別
に気にならなかっただろうが、こんな事が気になる私は、あまり得な性格ではないなとつくづく思う。

(’01・05・31)


       還暦つれづれ草の目次へ