還暦つれづれ草


おのぼりさん


お盆休みの12・13・14日と白山連峰の別山に登ろうとしたら、南竜山荘が満員で泊まれないと
のことだ。14・15・16日はまだ空きがあるとのことだったが、無理して人の多い時期に登ることも
ないだろうと、急遽東京の孫の顔を見に行くことに決めて、安く行ける夜行バスの予約をする。

夜行バスも満員で、臨時増発車両である。 普通はトイレ付きのゆったりしたバスだが、増発便は
普通の観光バスでトイレ無しなのだ。その代わり500円引きだという。2時間毎にトイレ休憩がある
しおまけに肩や背中丸出しの若い女性が乗っていて、つい目がいったりして眠れないのである。何
人もの人が申し合わせたように携帯電話を取り出してチカチカと光らせているのも気になるのだ。

かみさんと二人、旅行用鞄を提げて朝6時頃に東京駅のバス停に降り立つ。一休みしなければ
と地下の食堂で朝食を摂る。カレーモーニングというのがあり、かみさんが夏はカレーが身体にいい
のだと云うので朝からカレーライスとなってしまった。 ご飯がやたらと大盛りでカレーの汁が足りな
かった。それにしても階段やらちょったした広場に寝ころんでいる人が多い。若い女性もいたりして
驚いてしまう。

教わった電車に乗るべくホームへ向かう。私は東京オリンピックの時はすでに金沢にいて、この
時東京は大きく変わったが、その後も変わり続けて、今では全くと云って良いほど昔の面影を見つ
けるのが難しくなってしまった。こちらは福井の田舎からのおのぼりさん状態になってしまったのだ
った。

日・月・火の三日間、昼食と夕食は孫の居る息子の所で、寝るのは独り者の長男の所でと行った
り来たりした。車で片道40分も掛かるところを連日送り迎えして貰ったのだ。長男とは福井へ帰る水
曜日まで3回朝食を共にした。24時間営業のレストランというのがあって、そこで2回食べたが、ゆっ
くりと落ち着いた雰囲気だった。たまにはいいなと思う。コーヒーがお代わり自由と云うのがいい。

あとの一回は、荻窪駅前の牛丼の吉野家だ。最近並丼を280円に値下げしたあの牛丼屋である。
何かワクワクする感じで中に入る。朝から牛丼はちょっとと云う感じだが、息子は馴れたものでけん
ちん汁定食かなにかを注文した。そこで我ら夫婦は特朝定食を注文する。 しかし、次々と来店する
方々で特朝定食を注文する人はいないのだ。納豆と叫ぶ人が多い。

出てきた物は、ご飯にみそ汁、鮭の焼いたのと納豆と生卵、それに海苔(記憶が不確かだが)とき
た。これで490円なのである。旅館の朝飯みたいだ。なるほど朝飯にしては一品少なくても良いの
かも知れない。吉野家の株でも買って、優待券(食事券)を貰うのもいいかなと云う気になってきた。

そして180円のドトールコーヒーなのである。優雅なひとときである。朝早くて空いていたからだけど。



孫の顔を見に来たのだから孫のことも書かなくてはなるまい。あと2ヶ月程で3才になる女の子だか
ら可愛い盛りだし面白い。面白いから笑うと「なんでわらうの?」とくる。ショッピングセンターの乗物
コーナーのお付き合いもしたし花火もした。 昼寝の時はこちらも横になって、つくづくと寝顔を眺めて
過ごさせて貰ったのである。 しかし、孫のためには気前よくお金を使うおばあちゃんおじいちゃんも、
ディズニランドのミッキーマウスには敵わないみたいなのだ。

(’01・08・16)


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