還暦つれづれ草


年越しそば

都会の蕎麦屋は年末は大忙しだ。各会社の年内最終日、掃除を終えて最後に蕎麦屋から出前をとってみんなで
おそばを食べて良いお年をと云うことになるからだ。 こんなことをする会社は少なくなったかも知れないが、以前
は多くの会社でそうしたのだ。

子供の頃に年越しそばを食べた記憶は無いが、私はそば好きなので、昨日カミさんと近くの蕎麦屋でおそばを食べ
てきた。大晦日に家で食べてもいいのだが、年末年始は普段と少し違った食べ物があって、それでお腹がいっぱい
になって、ついおそばは食べず終いになってしまう。それに家で打ったそばを食べる訳ではないので、やはり蕎麦屋
で食べたほうが美味しい。

だいぶ昔になるが、カミさんの実家でおふくろさんが打ったそばを年末か正月だったか忘れたが、食べさせて貰った
ことがあった。とても素朴な味で美味しかった。カミさんの実家へは毎年正月には顔を出すが、いつも出されるゴボウ
汁も美味しい。これがおふくろの味と云うものなのかなと思ったりするのだ。しかし、そのおふくろさんも85才ともなって
おそばを作らなくなって久しい。

今、都会に出ている二人の息子が福井の家に帰ってきたとき、そういったおふくろの味と云うべきものがあるのかな
と考えてしまう。でも、特別な物は無くてもカミさん特有の味付けが、子供達がずっと味わってきた味があるのだろう
と思う。

その息子達はこの正月は福井へは戻らないことになった。それでこの正月はおじいちゃんおばあちゃん二人きりと
云うことになった。私の場合は、高校を卒業して働きだした時には、すでに両親がいなかったから、盆暮れに実家へ
里帰りすると云う経験はないので、誰も帰ってこなくても、少し寂しいけど楽でもあるし、と云うところなのだ。

二人の息子の家庭では、年越しそばなど食べるのだろうか。以前年末に下の息子へ電話したら、今カップソバを食べ
ているところだとか言っていたことがあった様な気がする。そばには違いないのだが.....。

(12月30日)


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