還暦つれづれ草


老眼鏡


ついに老眼鏡を購入したのである。最近は新聞の活字も読みやすいように大きくなったりして
いろいろと工夫がされており、私もメガネを使用せずに読めるのであるが、ちょっと暗いところや
中学校・高校と使ったコンサイスの英和辞典みたいなものはダメなのである。それに、本を読
んでいて次ぎにパソコンの画面を見ると、ぼやーっとして焦点が合わないことがある。

それで、あちこちに虫メガネが置いてあり、読みづらい時はそれを使う。その虫メガネも家電販
売店の客寄せ用の景品であったり、100円ショップで売っているものなのである。使って見ると
100円でも十分良く見えるのだが、片手がふさがるというのがいまいち不便なのである。

出張でJRの駅を利用した時、構内の出店で老眼鏡を沢山並べて売っており、その中に超特価
というやつを見つけた。折り畳み式でケースに入れると手のひらに収まるような大きさになる物
が980円なのである。

+1.50というヤツを掛けたら、あまりにも良く見えるのには驚いた。それで遠くを見るとぼーっと
する。少しくらくらする気がしたので、一番弱い+1.00にするかなと言ったら、店番のあんちゃん
が「それが正解です」とかなんとか言う。そして「老眼鏡で遠くを見てはいけないのです」と言うの
である。

980円+消費税を払って列車に乗り込んだ。列車の中でおもむろにセロハンの袋から出し、ブラ
下がっている小さな札を見たら7000円となっている。980円で儲けがあるなら、7000円で売
れたらボロ儲けとしか言いようがない。こういう物の値段はあって無きがものなのである。その様
にメガネ製造会社の幹部が言っていた。

家に帰ったらかみさんが、なんで私にも買ってきてくれなかったのと云うのである。

(’01・04・06)


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