福井の小さな山歩記


猿ケ馬場山(岐阜県)

猿ケ馬場山(1876m)は、天生峠から籾糠山へ登ったとき目の前に大きく居座っていて、白山の眺望を
妨げていた山なのだ。本当は籾糠山の方から登ってみたかったのだが、ルートが判らなかったので萩町側
から登ることにした。新しい靴のカミさんと二人連れ。

東海北陸自動車道は白川郷まで延びて便利になった。高速道を下りて茅葺き屋根の萩町のメインストリ
ートを抜け大牧林道へ。標識が在るわけではないので、これかなと乗り入れたら東海北陸道のトンネルの
工事現場だった。あわや工事中のトンネルへ突っ込むところだった。慌てて引き返した。恥ずかしい。

大牧林道は長い。走行距離10万kmに近いカミさんのスプリンターは、やたら腹をこすり石を巻き込んで
マフラーが心配になる。カミさんも心配顔だ。やがて宮谷林道に入りゲートを無事くぐり抜ける。ここを通れ
なかったら今日の計画はどうなったかわからない。賭みたいな感じだった。

萩町の明善寺からの道と出会う処から少し先に車を置いた。もっと先まで広い林道が続いていて、広い道
が終わるとすぐに宮谷の沢を渉る。これは後で判ったのだが、沢を渉ることが頭の隅にあったので、歩き出
して間もなく左へ降りていく道があり木に赤いテープがまいてある。ここかなと思って行くと沢を渉りワサビ田
がある。ところがその先の道が見当たらない。ウロウロして結局元の広い林道へ戻った。30分程損をした。

 

 左から林道を歩いてきて この沢を渉り 登りになる         比較物が無いがとても大きな樹の鮮やかな茸

もうこれだけで汗が額から滴り落ちる。今日は午後辺りから雨が降りそうなのであんまりのんびりとして居ら
れないのである。広い道を行き沢を渉ってから、また林道みたいな幅の坂道が登っている。坂にしてはかな
り急で、しばらく登るとワサビ田がある。そこから道はジグザクに登って行く。

やがて道は二俣に分かれ右に行く。すぐに帰雲山(1622m)の山頂らしいが、ただ道があるだけなのだ。
何にも印しが無いのは寂しい。そこで一本だけ持っていった缶ビールを二人で飲んで軽い食事を摂った。
天気が心配なので頂上へ着いたらすぐに引き返すことにした。



帰雲山の近くからの猿ケ馬場山

少し雨がパラついたが、合羽を取り出したら止んでしまった.。雨がひどくなったら帰雲山までで帰ろうとも考
えたが、休んでいる間に陽が射してきて予定通り登ることにする。大きなブナの木が多く目に付く。やがて
オオシラビソと云う名札がある樹林の間を登り、道が平坦なところに来る。何処かに三角点があるはずだが
草が繁っているので見つけるのも面倒なので先へと進む。



道の終点 山頂はここから薮漕ぎ30分 ここより30mくらい高いだけ

11時40分、道が終点となって保安林と標された黄色いプレートのある場所に着いた。そのプレートに手書
で猿ケ馬場山とあった。ここで止めておけば良かったのだが、もう少しで頂上のはずなので躊躇せずに先へ
進んだのだ。そこからは全くの薮漕ぎで、道が無いので、あの薄手の荷造り紐を頼りに進むだけなのだ。雪
があれば10分で行けるそうだが、30分以上も掛かって露でびしょ濡れになって頂上と思われるあちこちに
いろいろなテープの巻き付けられた樹の処に到着した。GPSでそこが頂上であることを確認した。



猿ケ馬場山の山頂 

途中道を間違えたのと食事を摂ったのを入れて3時間45分、6.34kmの道のりだった。戻りは2時間10分。
天気が悪いので眺望はゼロだが、もともとあまり良いとは思えない。雪のある時は素晴らしいとのことだが。
こんな山に梅雨時に登るなどという物好きな人間はそういないとみえて、3連休の中日、この山に登ったのは
我々夫婦だけだったようだ。

萩町の合掌集落は、観光客と車でごった返していた。その中を通り過ぎたと思ったら、突然強い雨が降り出し
たのだ。山で降られなくて幸いだった。雨がひどいと宮谷林道は落石が多くて危なかったかも知れない。

('03年7月20日)
2万5千分の1地図 「鳩谷」「平瀬」
<足跡>


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