北陸の峠道
清水谷峠
2万5千分の1地図の「河和田」と「稲荷」にまたがって清水谷トンネルがある。そのトンネルの上に
明治43年に造られた旧隧道があり、さらにその上が清水谷峠(清水谷坂峠)となっていた。鯖江や
国府(武生)と池田郷を結び、昔から利用されていたという。また江戸時代には、現在の会計検査院
に当たる幕府の巡見使の行列が通った道だという。
旧トンネル入り口(今立側) 現在の使われている清水谷トンネル
今立側の清水谷トンネルすぐ手前に、自動車道と平行するように登って行く道がある。この道は鎖が
あって車は入れない。ここを15分くらい歩くと旧トンネルの入り口がある。行啓記念事業だというから
もっと立派なものだと思ったが、ただ岩をくり貫いただけのもので、水が滴り落ちていて中は殆ど水溜
りだ。勿論真っ暗闇で入る気にはならない。しかし、掘るのは大変だったに違いない。
峠に向かう道でもあるかと林道をさらに進むが無いみたいなので尾根に取り付くことにした。急な斜面
を這い上がり稜線に出る。ところが稜線を反対方向へ歩いてしまったのである。あまり歩きやすい稜線
ではないが、町と町の境界なので所々に赤い杭が打ってある。一番イヤなのがとげとげの蔓だ。引き
返して稜線を急ぐ。何しろすごい風で今にも雨が降りだしそうなのだ。やがて稜線が下りだして帽子を
押さえながら急ぐと、峠らしく稜線が切れて落ち込んだところに着いた。
清水谷峠 お地蔵さんの残骸か?
峠も風が吹き抜け、カメラを構えても身体が揺れる。すぐに降りようとしたが峠道というものは無く、すぐ
に急斜面で、そこを滑るように下ったら旧トンネルの入り口の所へ降りたのだった。すぐ横は階段になっ
ているが、べつに上に道があるという訳ではなく道から斜面に取り付き易くしてあるみたいなのだ。こう
云う階段が何カ所もあり、私が斜面に取り付いたところも階段になっていたのである。
今日、残念だったのは、旧隧道の池田側入り口に峠のお地蔵さんが遷されているかもしれないので
車で池田側へ行き、それと思う林道へ入ったのだが、これが間違いで、おまけについに雨が降ってき
てしまい、諦めて帰ることにしたのだ。こちらへ来るついでがあれば寄りたいと思う。
今日は道を間違えたおかげで、2.73km、2時間10分ばかりの峠歩きとなった。
清水谷トンネルから車でくねくねと下る途中に「銘水石堂の水」というのがあり、不老長寿に効がある
とかで、往復とも車が何台も停まっていて水を汲んでいた。
(3月21日)