北陸の峠道
杉尾坂
杉尾坂は、名田庄村虫鹿野から京都府美山町へ抜ける峠道だ。知井坂、八ケ峰、五波峠、権蔵坂
杉尾坂、野田畑峠、三国岳(峠)と並んでいて、2万5千分の1地図「久坂」の右下に載っている。
名田庄村久坂から虫鹿野へ、そして虫谷川を遡る道へ入る。虫谷の集落を過ぎると未舗装となり、更
に進むと川が左側になり、堰堤を二つ見て少し広く車が停められる所に出る。ここに車を置いた。よく
周りを見ると、河原みたいで、そのまま沢に入れる。
ここまでの道は難路で、私のポンコツセダンは底を打ちすぎてマフラーがおかしくなってしまった。
そこから沢に入り、あっちこっちと渉りながら本流を真っ直ぐと云う感じで20〜25分くらい進む。カミさん
は早々に足を滑らせてボチャンと音を立てている。やがて右側から沢が流れ込んでくるが、更に進むと
前方に滝だ。これ以上進めないし、さりとて尾根に取り付く様な所もない。そこでGPSで位置を確認する
と、地図の道から数10m左側にいることになっている。道は右側の尾根上だ。そこで戻って先程の流れ
込んでくる沢を覗くと、赤いビニールテープが見えた。尾根に取り付く処だった。
虫谷 ここを20分から25分くらい歩く
そこから林の中だが、すぐに空の一升びんが多数散乱している横を通る。道は急坂になる。ずーっと急
なのだ。やがて、尾根の左が自然林、右は杉の植林地となり、その間を細い作業道と思われる道が真
っ直ぐに登っていく。左側、ブナ等の自然林の中には昔の峠道跡らしいものがあるのだが、こまぎれみ
たいなので作業道を登る。これが急で辛いのである。昔の道はジグザクに登っていたのだろうけど。
やれやれとやっとのこと稜線に出たようだった。テープなどの印が沢山あり、GPSを見るとまだ手前みた
いなのだ。そこでおかしいとは思いながら、赤いテープに誘われて行くと、間もなく下っていくではないか。
GPSを見たら稜線を永谷山方向に向かっている。そこで稜線へ出た処に戻り、反対方向の薮の中を覗く
と道があった。そしてすぐに京大演習林の中を登ってくる綺麗な道の突き当たりと云う感じの杉尾峠があ
った。
左側の道沿いの標識には765m 林の中の木に付けられた小さな標識には753mとある。 GPSのデータは残念ながら消してしまった。
随分と時間を喰った。急な登りでペースダウンしたし、沢や稜線での迷いなどで2時間15分、11時半に
なってしまった。朝早かったのでビールを飲んで昼食とした。本当は永谷山へ行く予定だったのだが、カミ
さんもいることだし、永谷山は諦めて京大演習林を散策して帰ることにしたのである。
我々が食事を終えた頃、京都側から中年の男性二人が汗を垂らしながら登って来た。演習林の中は湿地
があったりして素敵だと云う。そこで往復1時間ばかり散策することにして緩い沢沿いの道をゆっくりと下る。
子供の猪が我々の道案内かの様に我々の先きへ先へと歩いて行く。いい雰囲気の谷間で、ずっと地蔵峠
の方まで歩いてみたかった。
同じ峠への道が、福井県側と京都府側とではこうも違うものかと不思議に思われるくらいなのである。福井
県側では、峠から帰るとき、「戻るぞ!」と気合いを入れて歩かねばならない感じなのである。蜂蜜を入れた
熊の罠が仕掛けてあるので注意とあった。
(9月21日)
2万5千分の1地図「久坂」