北陸の峠道


菅谷峠(すげんたん峠)

2万5千分の1地図に「すげんたん」とカナがふってある。この峠には、’99年の5月に河野村の305
号線の方から峠へ出て入ってホノケ山に登っている。あまり良い道ではなかったし峠道らしさは感じられ
なかった様に思う。それに、この頃はまだ峠をあまり意識していなかった。この年の12月から「北陸の
峠道」が始まっている。

その後、塩の道について知識を得て、この道が往古の様子を留めているというので、是非もう一度歩い
てみたいと思っていたのである。そしてこの道が元比田・大谷坂・菅谷・峠を経て瓜生野へ下りて大塩・
武生(越前の国府)へ通じていたので、歩く時は瓜生野からと決めていた。そして今日、道に迷いながら
武生市の隅っこ瓜生野町へやって来たのだ。

 

        左先に駐車場所  登山道は右手へ              すぐにこんな深い道・向こうの白いのは太陽の反射

まず驚かされたのは、のっけから深いU字型というかV字型というのか、典型的な峠道で始まっているこ
とだった。そしてそれがずーっと続いているのである。ずっと上の方に「切り通し」の説明板があるのだが
「数百年にわたる人馬の通行によって削りとられたもの」であり、この道が長年にわたり重要な役割を果
たしてきたことを教えられる。

 

写真にはうまく撮れないが、この様な道がジグザグに登って行く

割と急な道は枯れ葉で埋まり、がさっがさっという枯れ葉の中を引きずる足音だけがして、ゆっくりと雰囲
気を楽しみながら登った。その昔、もしかすると紫式部が武生から京へ戻るときに、輿に乗ってこの道を通
ったかも知れない。通説ではないだろうが、そう思いたくなるような道なのである。

やがて尾根に乗り奥野々からの道と合流して平坦な道をしばらく歩くのだが、平行して同じ様な道が付い
ている。古い峠道に特徴的なものだが、あちこちに平行して道の名残がみられる。「切り通し」の説明板の
所に来る。説明板には「ここからが見どころ」とある。極めつけの切り通しの道を歩くことができるのである。

1時間40分程で菅谷峠に辿り着いた。残念ながら峠は全く林道で形を変えてしまい、峠という雰囲気を感
じることは出来ない。赤いよだれかけを付けた小さなお地蔵さんがひっそりと佇んでいるような峠を期待して
はいけないのである。

('03年12月3日)

 
       峠は林道によって全く姿を変えてしまっていた
 峠の案内板 

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