北陸の峠道
車でゆく摺鉢峠
今回は全線舗装道路だということなので車でのドライブということになったが、峠道はやはり歩くのが
いいのだとつくづくと思わされたのである。その話は後にして、摺鉢峠は美山町の河内、神当部と大野
の上黒谷、下黒谷を結んでいる林道の、美山町と大野市の境にある標高620m程の峠である。
上味見で国道476号線から神当部の方へ曲がる。「文化とロマンの里上味見」と云うだけあって、なに
やら雰囲気の良さそうな処だ。神当部を過ぎ河内の住吉神社の大きな欅の御神木の横を通り、聖徳寺
を通り過ぎると道は林道となって山の中に入る。
「右大野道」の道標 「的坂峠みち」の石碑
間もなく道標を兼ねた石仏?が左手にある。「右大野道」と刻まれている。右とあるので左にも沢伝いに
登って行く山道があった。なにやら古い石垣がある処だ。くねくねと大野道を上って行くと、今度は石碑
がある。それには「的坂峠みち」と題し「鯖江と大野を連絡する道の脇街道として利用されてきたが、近
年になると河内集落と大野を結ぶ道に性格をかえた。晩秋の早朝には、特産の赤かぶらが大野の朝市
へと運ばれた道でもある。」と刻まれている。昔の道はどの様に登っていたのか想像すべくもないが、美
山側の坂道を的坂と呼んでいたのだろう。
亀の子状態で動けなくなった愛車
土手から石ころが落ちていたり、杉の木が倒れていたりと雪解けの後の荒れた道を更に進むと、路面に
一部雪が現れたのだ。ほんの5・6mでタイヤの痕もあるので進んだのだが、これが大きな間違いだった。
私の車は軽みたいで車体が低いので、雪の上で亀の子状態で動けなくなってしまったのである。一時は
麓から引っ張りに来て貰わなければならないかと思ったのだが、苦闘1時間半、脱出に成功したのであ
る。キャンプ用の小さい折り畳み式のスコップが役立った。しかし、小さいジャッキは力がいるので使いづ
らかった。
摺鉢峠 左の石仏は下の写真を
そこから間もなく峠に着いた。途中2カ所、雪があったが止まらずに通り抜けることが出来た。タムシバが
咲き鮮やかな色合いの鳥をすぐ側に見ることが出来た。峠には石仏と立派な峠名が掘られた石があった。
こんなに立派な物を置くくらいなら、峠の由来くらい説明があってもいいと思うのだが。
摺鉢峠のお地蔵さん
峠からは荒島岳が望まれたし、その右の方にも白い山並みが望まれた。昔の人達もこうやって山々を眺
めたかどうか、それは判らない。現在の峠は広く舗装されて、その分樹々も刈り払われているからだ。
大野側へ降りようと思ったのだが、峠からすぐ雪があって引き返した。もう4時を過ぎてしまっていた。
('04年4月13日)
2万5千分の1地図 「越前大野」