北陸の峠道


雪の谷峠


勝山市五所ケ原と石川県の白峰村白峰との境の峠で、越前と白峰を結ぶ数ある峠の中で
も最も往来が盛んであった。「歩荷(ぼっか)」と呼ばれる運び屋が、重い荷物を担いで頻繁
に行き来した峠なのである。

国道157号線が谷トンネルを通り、また林道も出来て山歩きの人も旧道を歩くことはなくな
り、登れるような旧道が残っているかどうか判らない。雪道歩き初心者の私は当然ながら
林道を歩いて峠へ向かう。谷トンネル入り口手前の登り口に着くと、比較的若いご夫婦らし
きお二人がスキーを着けて登るところだった。ごまんど山まで行くとのことだった。



加越国境稜線から白峰側を望む

スキーは速い。私が歩き出す頃にはトンネルの上を過ぎて見えなくなってしまった。スノー
シュー歩きは最初なかなか調子に乗れず、ストックを持つ肩に力が入って疲れる。でも、ス
キーの跡があったのでだいぶ助かったのだ。

私のスノーシューは板状なので、板が水平を保ったまま沈めば良いのだが、傾くことも多く
そうなると足首を少しひねることになり疲れる感じがする。でもだんだん調子が出てきて、峠
も近いと思われる頃先のお二人さんが降りて来たのだ。どうやらごまんど山は諦めたらしい。



峠の三本杉

やがてスキーの跡もなくなり、少し窪んだ雪の上を歩き続けたが、この雪では峠の目印など
を見つけるのは難しい。しばし往きつ戻りつして稜線に出て白山を見たりしたが、大きな三本
杉があって、ここだなと本で読んだことを思い出した。斜面を登ると枝に赤布が下がっていて、
少し鞍部と云う感じだった。GPSで位置を確認、高度計は914mだったが先の本にも914m
とあったのだった。



目の前にごろんごろんと転がって落ちてきた かなり大きい 

稜線を4・50m歩いて、木の無いところでスノーシューの上に腰を下ろして昼食とした。なんと
歩き出して2時間半も経っている。雪の無いときは1時間位なのだそうだ。今日は薄日が射し
て風も無く穏やかな日で快適な峠歩きができた。
旧道の福井県側は急な登りだったそうで、昔の人達はこの峠で一息も二息もついたに違いな
い。当時は木々が沢山あって今と同じ山々を望むことが出来たのだろうか。

峠にあったお地蔵は、谷トンネルの白峰側入り口の処に置かれている。「言うない地蔵」と云う
そうだが、除雪された雪が高く積まれて見ることが出来なかった。

(2月2日)
<足跡>


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