北陸の峠道


番外編・旧東海道「宇津ノ谷峠」


ゴールデンウィーク最終日の6日、静岡から福井へ戻る前の午前中の短い時間を、息子に宇津の谷
地区へ連れてって貰った。 ここは旧東海道の岡部宿と丸子宿の間にあって、旅の人達が休憩した茶
屋など、歴史的な町並が残っている。 旧東海道は岡部側から峠を越えると宇津ノ谷集落の町並みへ
と入って行くのである。

 

宇津ノ谷峠                              道筋にある馬頭観音

峠の標高は170m、峠には地蔵堂跡があり、道筋には馬頭観音や俳人雁山の墓碑などもある。参勤
交代の大名行列や商人などが通る大動脈であったが、最後の大行列は明治天皇であったと峠の立て
札に記してある。 明治9年に煉瓦造りのトンネルが出来たからで、270年間にわたり使われた峠道は
トンネルにとって代わられたのだ。 レトロなとても好い雰囲気のトンネルで、日本初の銭取り(有料)トン
ネルなのだそうである。文化庁の登録有形文化財との表示があった。



明治トンネル

面白いことに、この明治のトンネルと平行するように大正トンネル、昭和トンネル、平成トンネルと4世代
のトンネルが並んでいるのである。昭和、平成両トンネルは国道1号線に使われている。

昭和、平成トンネルの東側には、平安時代から中世まで利用された「蔦の細道」と呼ばれた官道が残っ
ているのだが、残念ながらよく知らなかったので寄らずに終わってしまった。



峠道から見る宇津ノ谷集落

宇津ノ谷集落を見下ろす峠道に立つと、緑の茶畑の斜面に囲まれた集落の屋根が、そして旅の人達で
賑わったであろう道筋が見える。 その人達もここから同じ風景を眺めて、ほっと一息ついたに違いない。
しかし、もうちょっと降りると、左手にラブホテルが見えて来るところが昔と違うのである。

(5月6日)


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