北陸の峠道


矢戸坂峠から行人岩(’01・11・10)


矢戸坂峠は、勝山市鹿谷町矢戸口と大野市大矢戸・小矢戸を結ぶ古い峠道だ。また、この辺りは
道元禅師ゆかりの地でもある。延暦寺から追われる様にして越前に来たとき、最初この麓の寺に
仮寓して吉峰寺に移った。その後も禅師峰寺や行人窟、伏拝にきて修行したという。

10月8日に登ろうとしたが、結局行人岩(窟)へ登って帰ったので今日こそはと思ってやって来たの
だ。結論から言うと、早とちりもあって殆ど峠道を歩くことが出来ず、峠をいつの間にか通り過ぎたり
して峠まではさんざんだったのである。しかし、稜線に出てからの尾根歩きは快適そのものだった。



矢戸坂峠を背に大矢戸天文台 戻ってから撮ったものですでに日陰です。

大矢戸天文台の横に車を置いて9時50分に歩き出した。地図をよく見ないでウロ憶えのまま歩くの
で最初から道を間違えて40分もロスしてしまった。しかし、ここだと思って歩き出したところも、踏み跡
は極めて薄く、木が無くて草ぼうぼうの処へ来ると見失ってしまう。本当に峠道なのか半信半疑、また
間違えた可能性大なのだ。地図の道から離れたら軌道修正のため急斜面を登ることになる。

良い道だと思って行くと全然登らず横に移動するだけだった。杉の植林が一列にされていて道みたいな
のだ。それですごい斜面を登るはめになった。藪漕ぎもトゲのある蔓には閉口する。手が傷だらけで血
が出ている。木に引っかかってザックの口が開いて中身のほとんどが急斜面をころがり落ちた。みかん
2個は見つけたらその場で食べたが、しかし、バナナ1本が見つからなかったのだ。



峠から望む白山連峰

急斜面を登って峠道へ出るつもりが、峠道を通り越して稜線に出た。でも途中横切った道の様なもの
も歩くのは難しそうだった。それに較べると稜線の道はくっきりと歩きやすく素晴らしい。幅広の尾根な
ので、その端を峠道が通っているという感じがした。もう2時をまわるので急ぎ足となった。峠にgpsの
矢印を向けて歩いていたのだが、気が付いたら矢印が後ろを向いている。なんと通り過ぎているのだ。

せっかく苦労して来たのだからと戻ってみた。峠らしい雰囲気は何もないのだが、勝山側へ尾根に平
行して緩く降りる薄い踏み跡があったのでこの辺りが峠かなという程度だったのである。

 

2時を過ぎて余裕が無くなってきた。まだ今までの倍近い距離を歩かなくてはならない。尾根道を急ぐ。
630mのピークで、桧の根元に白山伏拝と彫られた石が立っていた。他の石には年代と人の名前の
様なものが彫られていた。この下の崖が白山香岩とか云われるらしいし、その下の台地には大光寺跡
の石積もあるらしいが、残念ながら時間が無いので雪を被った白山を眺めて先を急ぐことにする。



万作 白い板に大矢戸保存会による説明が書かれている

この尾根歩きは紅葉の中の快適なもので、途中巨大な万作の木もあった。660mのピークを越せば、
あとは一気に行人岩の上まで下る感じ。そこからはロープに掴まって下界へ降りるだけだ。4時20分
に車の処へ戻る。休憩も入れて6時間30分、8.2kmの行程だった。この峠道は峠から歩いてみると
辿れるかも知れない。でも、峠のお地蔵さんが見れなかったのが寂しい。

<歩いた足跡>


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