福井の小さな山歩記
法恩寺山から経ケ岳(’01・09・29)
毎週毎週初めての山を登るのもなかなか大変になってきた。今回も初めての山を予定していたが、
紅葉にはまだ早いし、そこで急遽法恩寺山から経が岳となった。 かみさんは経が岳に登ってない
し、法恩寺山も、2人の子供が小学生の時に家族揃って登ったきりで、もう20年以上前のことだ。
私は近年両方ともに登ったが、その間の尾根を歩いていないので一度歩いてみることにしたのだ。
法恩寺山(1356.7m)から 経が岳(右)、左は北岳
この辺の山は近いので、朝が楽でいい。保月尾根登山口にかみさんの車を置いて、私の車で中の
平避難小屋の方へ向かう。8時35分に登り始めた。2年前とはずいぶんと道は整備されていて木と
石の階段、石を引き詰めた道、分厚い角材を並べた道と頂上までの道のりの半分以上は土の上を
歩かない様な感じだ。スキーのゲレンデが出来て、越前禅定道もルートが変わっているのだろうか。
頂上直下のリフト設備といい法恩寺山という響きから受けるイメージとはかけ離れたものになってし
まった気がする。
法恩寺山のみへ登るのだったら、やはり白山禅定道起点の平泉寺から歩くのが相応しいようだ。
伏拝(1360m)、ロープが張ってある道は小原へ下りる白山禅定道
法恩寺山から伏拝への道はなだらかで、数人の方々がエンジン刈り払い機で登山道の整備をされ
ていた。林道小原線に下る越前禅定道はだいぶ荒れているみたいで、ロープが張られて通行止め
という感じだった。
経が岳へはいったん下り、その後は灌木の間の平坦な道が続き、展望が全くないのでたんたんと歩
くだけ。急登があり見晴らしの良いピークに出る。もしや北岳かなと思ったがまだまだ先で、北岳分岐
までの登りは長く感じられたが、素晴らしい眺望の中を歩くので気持ちはいい。これで白山の上の方
に雪でもあれば最高の眺めだなと思う。北岳分岐からは赤兎山への道が続いているのが見える。
そこから3時間半くらい掛かるらしい。
北岳分岐から白山、別山、三の峰 手前赤兎山、大舟山そしてここへ道が続いている
北岳から経が岳の間は笹が伸び放題で、掻き分けながら道を辿ったが、最後の登りは笹に潜って
足元を見ながら登る状態だ。そうして登るうちに、姿が見えないが上の方から「ご苦労さん」という声
が聞こえてきた。頂上の広場へ出るまで笹藪が続いていたので頂上広場へは躍り出るような感じが
した。しかし、伏拝から2時間20分も掛かってしまったのだ。休む回数が多すぎたのかな。
頂上には6・7人の方々が休んでおられた。風もなく程良い暖かさ、ビールが美味かった。
経が岳山頂 三の峰の避難小屋も見えた
経が岳の頂上からの眺望は申し分ない。荒島岳や冠岳もくっきりと見えた。かみさんは東京の息子
その他へ電話をしたので、名前を耳にされた方が、私のホームページを見ていると話しかけてこられ
た。GPSのことで話をしたが、実は前回に続いて今日も歩いた軌跡は上手く録れなかったのだ。
経が岳山頂から スキーリフト左が法恩寺山、ひとつおいて伏拝、手前右へ伸びる尾根を歩いて経が岳へ
誰も居なくなった13時40分、頂上を後にして急いで下りようとしたのであるが、結局2時間15分を
要して保月尾根登山口へ辿り着いた。前回時もそうだったが保月山からの下りが長く感じられた。
* * * * * * * * *
杓子岳へ下って来たときは14時45分だったが、その時登って来た方がいたので少し驚いた。なに
しろ私達が最後の下山者だと思っていたからだ。 細身の初老という感じの方で、軽装のうえ小さな
ナップサックだった。
私達が保月尾根登山口に着いたのは16時15分で、故あって私は18時3分までそこにいて夕日が
完全に沈むのを眺めていた。日没は17時40分で、その夕映えの雲の輝きも消え、月が輝きを増し
ても、その人は下りて来ず、軽自動車は静かに主が戻るのを待っている。
私の計算では、その人が経が岳へ登り、そのまま折り返したとしても18時30分にはなってしまうの
ではないかと思われる。日没後50分なのである。
私はその人が下りて来たら「ずいぶん遅い時間に登られるのですね」と声を掛けて、遅く登る理由を
聞いてみたかったが、こちらも帰る時間になってしまった。1時間半以上もそこに居たので、そのボッ
クスタイプの軽自動車の中を覗いて見たら「なぜ生きるのか」とかいう本と科学雑誌が見えた。きち
んと整頓されていて私の車内とはえらい違いだ。どうも学校の先生みたいないわゆる知識人と言わ
れる人ではないかと勝手に想像する。すでにリタイアされた方か?
でも、少し心配になってくる。私は心配性なのかもしれないが、足元が暗いと山道は危険だ。あ
のペシャンコのナップサックが妙に頭に残ったのだった。