還暦つれづれ草


逆行プール


どうも山歩きのない最近は、運動不足がたたって体重が増加傾向にあるのだ。
そこで、会社の近くの逆行プールのある施設で、週2回ほど歩くことにした。 水
流に逆らって歩くだけなので、30分も歩くと単調で飽きてくるのである。 その点
山歩きは道も変化に富むし、風景も変わるので飽きることがない。

45分位い水の中を歩いてから、15分ほどジェット水流で腰や肩をほぐして終
わりにする。身体が軽くなった様な気がして心地良いのであるが、お腹 が空くし
喉が乾く、食欲が増すのだ。普段から好き嫌いなく、いつも食欲が あるのに、さ
らに食欲が増す感じで、少しくらいの運動は体重に関しては逆効果みたいなの
である。

それに、私は出された物は残さず食べるように育っているのだ。なにせ東京の
真ん中で空襲で焼け出され、終戦の翌年に小学校に入学した。イモの蔓のみそ
汁で一日を過ごすと云うような食料難の時代だった。 校舎も焼けて、隣町の学
校で3部授業で始まったが、最初は先生が分けてく れる缶詰を食べに行くような
ものだった。さつまいもの配給があって、今回 のいもは美味いとかみずっぽいと
かが関心事だった。何も無い時はフスマまで煎って食べた。しかしこれは頂けな
かった。うんちが固まらずにぼそぼそと出てきたことを覚えている。最近の若い
人にフスマといっても判らないが。
トウモロコシの粉をふかして饅頭にしたやつも食べづらいものだった。焼くとカリ
カリとした皮だけは食べられた。今のような粒の缶詰なら美味しいのにと思う。

出された物をきれいに食べるのは礼儀でもあるので、私はきれいに食べるよう
心がけているのだが、これがよくないのかもしれない。それに、食後お茶 を飲む
とき甘い物が欲しいのだ。先日近所の寿司屋で一通り食べ終わって、これでぜん
ざいでもあったらいいなと言ったら、店の奥さんが羊羹を出してくれた。 これがま
た何とも言えず美味しいのである。これでは体重は減りそうもない。

逆行プールの利用者は、残念ながら若い人はまれである。時間帯にもよるのか
もしれないが、だいたいが腹のたるんだおじさん連中か、樽の様なおばさ んなど
が多いのである。しかし、隣のスイム用のプールには、時にハイレグのスタイルの
いいお姉さんが颯爽と泳いでいたりする。あまり露骨に視線を 向ける訳にもいか
ないので、眺めるのには技術を要するのである。

('00/02/11)


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