福井の小さな山歩記


越前禅定道・六万山・指尾山・慶松平
(石川県・10月27日)


廃道となっていた越前禅定道が平成11年7月に復元されて通れるというので、是非歩いてみたいと思って
いた。先週チブリ尾根を登っていたら、断崖の上に続く道が見えて、次はここと決めたのである。

紅葉は、市ノ瀬へ向かう手取川沿いが見頃となっていた。7時に市ノ瀬の駐車場から歩き出す。登山口から
は途端に気持ちよい枯れ葉の道となり、少し行くと年代を感じさせるような石の階段となる。なかなか趣のあ
る道で私好みなのだ。林道を横切って暫くは雰囲気の良い道である。後ろを振り返り景色を楽しみながら歩く
という感じである。

やがて丸太で造った急な階段となる。段差が割と大きいので私にはきついものがあるが、斜面が急なので
仕方がない。今日は時間を気にする必要がない程余裕があるので、ゆっくりゆっくりと登った。

六万山頂上手前で尾根に出ると、そこからは素敵な縦走路となる。ここの特徴は石にあるように思う。大きな
石の間をすり抜けたり、石窟があちこちに口を開けていて何か有りそうな雰囲気なのである。小さな石仏でも
見つかりはしないかと岩穴を覗きながら歩く。それに巨木も趣がある。目印がないので桧宿跡などは判らなか
った。判ったのは泰澄大師が剃髪したと伝えられる剃刀窟だけだ。



剃刀窟 壊れた石仏等が散乱している

指尾山にも以前は石仏があったそうである。何しろ快晴なので御前峰、大汝が峰、別山と眺望は文句ない。
指尾山からは左に白山釈迦が岳、右に別山などを眺めながらとなり、両側に川を見下ろせる。

木道やら階段やら岩に頭をぶつけたりして崖の上の道を行きます。階段は上るだけですが、下るときは怖そう
です。急ですし、滑り落ちるとそのまま崖下へという処もありました。やっとのことで平坦な道へ辿り着くと、逆
向きに「この先通行注意」とかの表示がありました。今登ってきたところが五輪坂と言うのかも知れない。



指尾山から御前が峰、大汝が峰を望む

お腹がすいたので11時に昼食にする。今日は気温が高いので缶ビールを持ってきて良かった。熱燗の出来る
カップ酒も持ってきたのだ。5個入りの「ジューシイ稲荷」が美味しい。珍しく全部食べた。なにしろここ2週間は
独り暮らしで、昨日の朝から米粒を食べていないのである。独りになるとこんな生活が待っているのかなあ。



断崖の上を岩伝いに登る

慶松平は背の高い笹が密集している平地だ。昔はここに慶松室というのがあって、銅造十一面観音立像を
本尊としていて、今は白峰の林西寺に所蔵されているという。ここを抜けて別当坂を登ると観光新道との分岐
に着く。そして急な坂を下って別当出合へ。

子供が小学生の時、家族でここを登ったが、よくもこんな道をと思う。上から降りてきた人が、私達を見てここは
急ですよと言ったのを憶えている。 しかし長く単調な道は子供は飽きてぶつぶつ言うから、この様な道の方が
いいのだが、黒ボコ岩へ着く前に私の方がばててしまったのだ。

別当出合から市ノ瀬まで紅葉のトンネルの中を歩いた。1時間10分掛かったのだった。禅定道で出会ったのは
白山から下りてきた人ひとりだけだった。別当出合いから市ノ瀬まで歩くのがイヤでここを通るのだとか、復元さ
れてない時にも通ったそうだ。

泰澄大師が養老元年(717年)に開いたとされる白山。そして白山本道とも呼ばれ受け継がれてきた白山への
道、越前禅定道、今日は期待したとおりの越前禅定道を歩くことが出来たのでした。

<歩いた足跡>


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