福井の小さな山歩記
チブリ尾根(石川県・10月20日)
今日は山登りには絶好の日和だ。市ノ瀬の駐車場には、朝6時半少し前だが20台位の車があった。
別当出合へ向かう車が次々と通り過ぎる。6時半に駐車場を後に歩き出す。4人のパーティの後ろに
なった。
先週の銚子ガ峰から膝の調子がいまいちだったので、今日はゆっくりとチブリ尾根避難小屋まで往復
することにして、紅葉を楽しみたいと思っている。おばさん3人と男性1人の前のパーティは、きわめて
遅いペースで、私が膝の様子を見ながらあるくのには丁度よかったのではあるが、登山口に着くまで
に30分もかかり、その間4・5人の単独の男性が追い抜いて行った。別山まで行く方達だろう。
登山道はなだらかに始まる。細谷川を左下に、小さな沢を二つばかり渉る。その辺りは道にも水がしみ
出て枯れ葉を濡らしている。 紅葉は黄色が殆どで鮮やかな赤は皆無だ。 黄色も鮮やか感じはなくて、
この辺はすでに遅いのかもしれない。
4人のパーティとは抜きつ抜かれつで、夫婦連れや独りでの男の人達が抜いて行く。気持ちよく歩ける。
避難小屋から見る白山・肉眼では室堂も見える
道は急な登りは殆ど無いといってもよく、ひたいから汗が落ちることは無かった。樹林帯を抜けると白山
が見えるところがある。低い笹の道に出ると右側の展望が開ける。平坦な様な道になると小屋は近い。
小屋の手前の水溜まりには厚い氷が張っていた。
チブリ尾根避難小屋 別山まで2.8kmの標識
避難小屋に着いたのは10時35分だった。市ノ瀬から4時間5分だったが、3時間も掛からなかったと言う
方言丸出しの元気のいいお姉さんがいた。年に60回も山に登ったというおばさんもいたし、そのお友達の
おばさんは私の知っている人だった。先週は三の峰に登ったという。みなさん元気な方達ばかりだ。
陽が射さないと寒くなるので小屋には入らなかったが、小屋の周囲には広場がなくて、ちょっとした処は
先着がいるし、私は道の縁に腰を下ろして休むことにした。 後から登って来た人は、座る処が無い有様
だった。カップラーメンを食べたのだが、沸騰したわりには熱くない感じで美味くない。ビールもいまいちで
熱燗が飲めるカップ酒を持ってくれば良かったと思った。
小屋手前から別山を望む・左の尾根を登る 肉眼ではジグザクの急登を登る人が見えた
先程のおばさんから雑煮に差し入れがあって、それに大きなリンゴを丸かじりしたので満腹となってしまっ
た。こんなにゆっくりとしたことはない。何しろ天気が良くて室堂や、南竜山荘だろうか赤い建物が見える。
別山に向かう人が、急な尾根のジグザク道を登っているのが見えるし、もう少し早く歩けば行けたかな。
12時10分程前に立ち上がったのだが、その時登山口までの道で追い抜いて行った人が別山から降りて
きた。身軽で早いのである。そのまま小屋を通り過ぎて下っていった。
今日の登山者はやたら熊よけの鈴を付けている人が多い。こんなに人が多いところに熊が出るとは思えな
いが、下りの道で、前を行く田舎田舎したおばさん2人とおじさん1人の方々は、声も大きくて「岩間温泉へ
行ったときは温泉で卵を茹でて食べた」などと話していたが、鈴が鳴りっぱなしで、沢山の風鈴を扇風機で
ならしているみたいなのだった。熊よけの鈴にもいろんな音色があるものだ。
登山口から市ノ瀬へ戻る道で、左側の高い崖を見上げると、日陰の垂直な壁面の所々に鮮やかな黄色が目
に入ります。この引き締まったような鮮明な風景が印象的でした。今日一番の紅葉を見た気がしました。