還暦つれづれ草


玉葱


当家が毎日の食料品購入でよく利用するマーケットは、最近朝のうち、大きくて立派な玉葱を
一個一円で売っていたのである。うちのかみさんは一回買って帰ってからまた買いに行ったの
である。なにしろ50円も買うと重くて大変なのだ。

農家からどの様に仕入れているのか知らないが、玉葱は細かく刻んで30分放置してから調理
すると、血の流れを良くするというのをテレビで見たりしているので、脳梗塞を経験した当家で
は玉葱をよく使う。有り難いことではあるのだが、単純に喜んでばかりはいられないのだろう。

近くで農業をやっている知人(時々いろいろな野菜を貰うのである)の話では、キャベツなど豊
作になると、価格が下がって、出荷してもガソリン代も出ないので、畑にそのまま放置して置く
のだという。いくらでも勝手に持っていって構わないと云うのだそうであるが、小さなトラックで
採りに来たくらいでは、何処から採っていったか判らないくらいなのだそうだ。

家庭菜園で、キュウリやトマト、ナスなどを栽培する人は多い。しかし、肥料や殺虫剤などで
案外お金が掛かるらしいし、豆などを植えると、高い所で鳥がじっと見ていて、人が居なくなる
とみんなほじくって食べてしまうという。頭がいいのだ。敵もさるものなのである。それで、玉葱
が一個一円などと聞くと、やる気が消えてしまうと言っていた。

しかしながら、畑に枝豆が沢山育っているのを見ると少しでいいから、タダで貰えないかなと
思ってしまうのである。(私は、最近まで枝豆は地中にできるものと思っていたのでした。)

(’00・09・03)

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その後、9月半ばの新聞の報道によると、玉葱の産地である佐賀県では出荷調整で3千トンの
玉葱が捨てられたそうである。平年は1キロ80円前後で出荷されていたものが、今年は始めか
ら安く、7月末には38円にまで落ち込み、出荷調整となったとのこと。輸入洪水と云われる野菜
の輸入は玉葱で見ると、昨年の1〜4月と今年の1〜4月を比較すると、2.01倍の116,621
トンにもなっているのだ。

     


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