福井の小さな山歩記


大仏寺山(’00・11・04)


今日は久しぶりの快晴の下での山歩きである。上志比村の吉峰寺から大仏寺山へ登り永平寺へ
降りる、いわゆる祖跡コースと呼ばれている道を歩く。駐車場や登山口の看板には、ダム工事のた
め永平寺側へは降りられないと書いてある。それで、もし行けない時は大仏寺山から引き返す。行
けたら永平寺からタクシーで吉峰寺へ戻ることにして、8時に吉峰寺の上の駐車場から歩きだした。


苔むした吉峰寺 登山口はこの後ろ 前日撮影

静かな境内を歩くと背中の鈴の音が気になる。犬が吠えて若い坊さんがたしなめる声が聞こえた。
木漏れ日の中の登山口から枯れ葉の積もった道が続く。 まず祝山(705.3m)だが、急登も太いロー
プがあって楽に登れた。1時間35分掛かった。そこから50mも歩かないうちに、直ぐ下に白いガード
レールも鮮やかな広い林道が現れたのだ。それに、これから歩く道と平行して走っているのである。


林道で遮られて新しく付けられた階段 仙尾山へ

歩く道は確かに良い道だが、だんだんと林道へ降りて行き、ついに林道へ出てしまう。そして林道を
横切って、新しく造った階段を登る始末なのである。 その昔、 道元禅師が歩いたと云う歴史の道も
ダムやら林道やらでだんだんとその姿を変えてしまうのだろうか。

仙尾山(826m)への道も、さらに大仏寺山(807.4m)への道も素敵な尾根歩きを楽しめた。キツ
イ登りもなく、あくまで晴れわたった空、どこまでも続く赤や黄色の落ち葉の道、右手後ろを見ると雪
の無い白山がくっきりと見えるのである。南部鉄器の風鈴とまではいかないが、背中の鈴もなかな
かきれいな音を出している。


大仏寺山頂上 真ん中の山が白山 肉眼では大きくはっきりと
見えるのだが。

大仏寺山には3時間15分掛かって着いた。 三角点に腰を下ろして白山を眺めながらビールを飲む。
無風で暖かくて気持ちいい。 イカクンを食べ過ぎたきらいがあるが、 アンパンやバナナも美味しい。
食べながら、ここから引き返すか永平寺へ降りるか考えたが、その後特別にダメだと云う掲示も無い
ので永平寺へ降りることにする。大仏寺跡も見たいし。


大仏寺跡

大仏寺跡は思った通りの雰囲気のあるところだった。が、そこからが石の多い急な下りで、こうなる
と落ち葉が石を隠すのでやっかいだ。いつの間にか沢伝いになっていて、余計ややこしくなってきた。
石が濡れていて滑るしおまけに沢を渉る場面が多いのだ。 急坂なので当然急流なのだが、 尚かつ
今日は水量が多いみたいなのである。

えいっとばかりに無事渉ったと思ったら、次の足が滑りひっくり返った瞬間、愛用のステッキが手を放
れ,あっと云う間に急流に流されてしまったのである。降りるに連れて水量が増えて、徒渉は益々困難
さを増してきた。渉る場所に来るとどうやって渉るかしばし考え込んでしまう。こうなるとステッキが無い
方が両手が使えて良いみたいに思える。 丸太を渡しただけの処も、 丸太が濡れてぬるぬるしているの
だから、これまた滑って怖いのである。



そうこうしている内に、突然沢が無くなって広い工事中の道路にぶち当たる。目の前にダムの堰堤が
現れたのである。ちょっと狐につままれた様な感じで、自分の居る所がどういう所かしばし判断がつか
なかった。少しの間工事現場をうろうろしたので、作業をしている人からは変に思われたに違いない。
やがて沢から道路へ出た所から左へダムサイトを回れば行けると判る。ダムの堰堤の側を通り下を覗く
と、そこに永平寺からくる林道が見える。そこへ降りて行く道も見えるので、なんなく永平寺へ着く事が
出来た。すぐ近くなのである。ダムが完成すれば、沢への入り口まで車で来られるようになるのだろう。

永平寺ではタクシーは来るけど、空きにならないので捕まえられず、呼んで貰った。おかげで永平寺の
門前を1時間もうろついてしまった。吉峰寺までなんと4,570円も掛かったのである。やはり大仏寺山
で引き返すべきだったか。そうすればステッキも失うことはなかったのだ。しかし、行ってみなければ判
らないこともあるし、いい経験だったと思うことにしよう。


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