福井の小さな山歩記


天生峠から籾糠山(岐阜県・9月1日)


膝に病持ちなので適当な山を見つけるのはなかなか難しい。しかし、籾糠山はそう云う私にとって
うってつけの山だった。まず、階段が一つも無いのがいい。天生湿原の周りは木道だし、木平湿原
への登り道は、ふわふわと弾力性に富んだブナ林の中の道で、気持ちよく歩ける。立ち止まって
振り返ると林立するブナの巨木に感動する。 あくまでも歩き易い散策道といった感じなのだ。



何故かここには老木の巨木が集まっている 比較する物がないが実に大きい木だ

急登は、頂上直下の100mか150m位なものである。それも足を運び易い足跡が出来ていて、下り
も楽だった。頂上ではコンビニで買ってきた貝の缶詰でビールを飲んだ。普段口にしない缶詰が旨い。
家から持参のおにぎりを雑炊にして食べる。最後はコーヒーである。ちょうど1時間ゆっくりとしたが、
ずーっとかみさんと2人だけだった。
展望は良いが、白山側は猿ケ馬場山が間近にあって望めない。



籾糠山 山頂(1744.3m)後ろは猿ケ馬場山

帰りは沢沿いのコースを歩いたが、こちらを登りに使えば更に楽に登れる。わづかな間だが、箱庭
の様な綺麗な水の流れる沢を、あっちこっちと渉りながら歩くのも楽しい気持ちにさせてくれる。

私のゆっくりした足でも往き2時間40分、戻り2時間くらいだった。今回季節的には中途半端かも知
れないが、涼しかったし、出会った人も6・7人と静かな山歩きが楽しめた。風の音も鳥の声も蝉の
声も全く聞こえてこない不思議な静けさの中を歩いた。花の季節、紅葉の季節はさぞかし素晴らしい
に違いない。



木平湿原 GPS高度計で1586m 木道で休息して

心配なのは、交通が便利になって訪れる人が多いのだと思うが (国道からすぐに登れるし、トイレもあ
る広い駐車場が峠) 黒い表土が削り取られて木の根が沢山露出して痛々しい感じがすることだった。

天生峠(あもう峠)は、国道360号線の白川村萩町と河合村の間にある。泉鏡花の小説「高野聖」は、
天生峠を越えた一人の僧(高野聖こうやひじり=真言宗高野山の修行僧)の体験した幻想的な話が
綴られている。私が読んだものは、やたら漢字が多くて読み方が判らないところが多かった。


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